2002年8月5日

住民基本台帳ネットワークシステムの稼働に反対する(談話)

社会民主党全国連合
幹事長 福島瑞穂

  1. 本日、東京・杉並区や国分寺市、横浜市、福島県矢祭町など六自治体が不参加の中、住民基本台帳ネットワークシステムが稼働した。住民基本台帳法改正時の「個人情報の保護に万全を期するため、速やかに、所要の措置を講ずるものとする」とした附則修正や当時の小渕首相の国会答弁によって、包括的な個人情報保護法の制定が住基ネット稼働の最低限の前提であることは明らかである。政府の個人情報保護法関連法案が余りに問題点が多く、実効性ある個人情報保護策が講じられない段階で、住基ネット稼働を強行することは断じて認められない。

  2. 住基ネットによって、本来、市町村と住民のものである住基台帳が変質する。また、行政が握る膨大な量の個人情報が、共通のコードを振られることでプライバシー侵害の可能性も著しく高くなっている。住基ネットを維持するための莫大な経費をどうするのか、データベース作成禁止の保障が十分なのかなど問題は山積している。現時点では民間への情報提供は禁止されているものの、将来的に民間に開放するようなことになれば、個人情報が利権として扱われることにさえなりかねない。有事法制と軌を一にして推進されていることについても、ネットワーク化が管理化・軍事化を目的にしたものではないかとの懸念を抱かざるを得ない。

  3. 二つの県議会を含む七〇の自治体議会が延期を求める意見書を採択し、二九の市区町村の首長も同様の要望書を出している。住民からの延期・凍結の声の高まりに明らかなように、個人情報の漏洩や不正利用への不安は根強い。これらの声に応えて、先の通常国会に野党4党は、住基ネットの稼働を延期するとした法案を共同提出した。残念ながら法案は廃案となったが、社民党は今後も、実効性ある個人情報保護法の制定及び住基ネットの凍結・廃止に向けて粘り強く取り組んでいく決意である。