2003年12月22日
JR不採用問題に関する最高裁判決について(コメント)
社会民主党JR不採用問題PT
座長 渕上 貞雄
- 本日、最高裁判所第一小法廷は、JR不採用問題(本州採用差別事件、北海道・九州採用差別事件)に関して、中央労働委員会及び国鉄労働組合の上告申立を棄却し、中労委救済命令を取り消した東京高裁判決を支持する判決を言い渡した。この間、社民党は、JR不採用問題は人道的立場から1日も早く解決されるべき大きな社会問題となっているとの観点から、本問題の早期解決に向けてあらゆる努力を傾注してきた。しかし、国鉄改革法の形式的な解釈論に終始した東京高裁判決を踏襲し何ら実質審理を行わなかった今回の最高裁判決は、極めて遺憾であるといわざるをえない。
- 今度の判決においても、国鉄・清算事業団の採用差別の不当労働行為責任は何ら否定されてはいない。もとより、採用差別が厳然として存在したという事実が消されたり、JR不採用問題自体がなくなったりしたわけではなく、人道上からの一日も早い解決が求められていることに変わりはない。
- 一方、ILOは、これまで何度も日本政府に対し、当該労働者に公正な補償を行い、当事者にとって満足のいく解決に早急に到達するよう要請してきた。四党合意解消後も、ILOは、2003年6月20日に、改めて本問題に関し、(1)ILOが解決の枠組みとした「四党合意」の不成功に憂慮する(2)日本政府と関係当事者が、可能な限り多くの労働者に受け入れられる公正な解決を見いだす努力を行うよう促す(3)既に亡くなったり退職年齢を過ぎたりした労働者の数を考慮に入れれば、たとえ解決してもその実効性に欠けることから問題解決の緊急性を指摘する、等を柱とする「報告」を採択している。
- 解雇された組合員とその家族は、経済的にも精神的にも多くの犠牲を強いられ、厳しい生活を余儀なくされながらも、JR復帰をめざし運動を継続している。すでに救済申立から16年余がすぎ、組合員・家族の辛苦は筆舌に尽くしがたいものがある。「国鉄改革」は「国策」として遂行されたものであり、不採用になった人たちには「国策」の犠牲者という側面もある。政府は、これまで最高裁の判決を見守るとしてきたが、今回の判決を機に、ILOの「報告」を真摯に受け止め、本問題の早期解決にむけ責任をもって対応すべきである。