2003年1月27日

「もんじゅ」設置許可を無効とした画期的な判決を歓迎する(談話)

社会民主党全国連合
幹事長 福島瑞穂

  1. 本日、名古屋高裁金沢支部は、高速増殖炉「もんじゅ」の原子炉設置許可処分の無効確認を求める行政訴訟に対して控訴審判決を下した。判決は原告である住民側の主張に沿って、「ナトリウム漏れ事故対策の安全審査に重大な誤りがある」として設置許可を無効とし、政府に対して事実上、安全審査の全面的なやり直しを求めた。原発の設置許可や運転の差し止めなどを求めた裁判で、住民側が勝訴したのは初めてのことである。社民党は、この判決を歓迎し、政府が判決を真摯に受け止め、上告を断念するよう求める。

  2. 「もんじゅ」の設置許可申請については、活断層の真上にあることを考慮していない耐震設計、蒸気発生器の一斉大量破断や二次系配管の大口径のギロチン破断を想定外とするなど、かねてから多くの問題点が指摘されていた。今回の判決は、これらの点を考慮せずに運転を許可した政府の姿勢自体を問題視したものだと言わざるを得ない。

  3. 7年前の「もんじゅ」ナトリウム漏れ火災事故は、まさに政府の行なってきた安全審査と運転許可が誤りであったことを証明した。しかしながら、政府は2001年に核燃料サイクル開発機構が求めた「もんじゅ」の運転再開を前提とする設置変更申請に対し、昨年12月26日に許可を与えた。この設置変更申請時点でも、従来から指摘されてきた問題点は何ら克服されていない。したがって、政府による設置変更の許可自体も無効になったと考える。

  4. 東京電力の自主検査記録における不正とひび割れ隠し、その後に各電力会社でも相次いだトラブル隠しで、電力会社や原子力関連メーカーの信頼性は完全に失墜した。原発の中心部でひび割れ事故が起こり、その対策もままならないという原子力技術の未熟さには、あらためて驚かざるを得ないが、このような状況下で、さらに数段厳しい安全管理と検査体制が不可欠となる「もんじゅ」を稼動させることは、きわめて危険と言わざるを得ない。「もんじゅ」はこのまま閉鎖すべきである。

  5. 東京電力の不正事件で、プルトニウムを利用するプルサーマルは完全に頓挫した。高速増殖炉計画は7年前の「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故以来、止まったままである。政府は、プルサーマルや使用済み核燃料サイクル計画を見直しし、そこにつぎ込まれている膨大な予算を即効性の高い自然エネルギーの普及政策や燃料電池の開発費などに回すなど、原発推進から脱原発に政策転換を図るべきである。

以上