2003年2月11日 社会民主党訪韓 談話

「トラサン」統一展望台にて

社会民主党
党首  土井たか子

  1. 「冬来りならば春遠からじ」という季節にこのトラサンに立って、南北鉄道工事の未来を見るとき、厚い雲の切れ間からいく筋かの光が大地にさしてくることを実感します。
     金大中大統領は2000年6月、歴史的な南北首脳会談によって、朝鮮半島の緊張緩和と朝鮮半島における冷戦体制を終焉させるという歴史的決断をされました。そして昨日、金大中大統領、ノ・ムヒョン次期大統領とお会いし、お二人から包容政策を堅持し、さらに発展させて南北の和解と朝鮮半島の緊張緩和、そして北東アジアの平和と安定に向けての強い決意を伺い、改めて未来志向への熱意を感じました。
     私たちは、未来をつくり平和を次の世代に残していかなければなりません。
     二度と朝鮮半島で戦争が起きたり多くの人々が命を奪われるような事態を招いてはなりません。

  2.  ここは京義線が開通して、北東アジアの経済と人的交流の動脈となる鉄道の始発駅となるところです。
     トラサン駅は、1905年、当時の日本軍によって作られたと聞いています。
     そのときまさに日本軍国主義のアジアにおける植民地支配の始発駅であったトラサン駅が、いま北東アジアの平和と安定、経済的繁栄の始発駅となることに隔世の感があります。
     しかし、わが国においては、小泉首相の靖国神社参拝に見られるように、歴史認識を捻じ曲げ、歴史の歯車を逆行させるような動きが強まっていることに危惧を感じるのは私だけではないでしょう。
     98年「日韓パートナーシップ宣言」にあるように、正しい歴史認識を共有し、未来志向の日韓の協力関係をより発展させることが今ほど重要なときはありません。

  3.  私は、この京義線が北東アジアの平和の架け橋となることを願ってやみません。
     また、この京義線開通など包容政策の発展によって、ノ・ムヒョン次期大統領が提唱される「アジア経済共同体」が現実のものとなるよう期待しています。トラサン駅の工事のように私たちも一歩づつ平和への歩みを進めていきます。京義線が21世紀のユーラシア大陸のシルクロードとして発展し、平和を乗せて走る鉄道となることを心から願います。