2003年3月4日

2003年度予算案の衆院通過にあたって(談話)

社会民主党全国連合
幹事長 福島瑞穂

  1. 本日、野党四党が反対する中、与党の賛成多数により03年度予算案が衆院本会議で可決、通過した。史上最悪の失業率と先行きの見えないデフレ不況にもかかわらず、政府はサラリーマンの医療費窓口三割負担、失業給付の削減、介護保険料の引き上げなど新たな国民負担増を強要しようとしている。野党が提出した医療費三割負担凍結法案、雇用・中小企業対策への重点配分を目指した予算の組み換え動議は、圧倒的多くの国民の期待を代表するものである。これを無視する政府・与党の姿勢は、「痛み」の追い討ちで国民生活の破壊に走るものと断ぜざるを得ない。

  2. 自民党長崎県連の違法献金事件、大島農水相秘書による口利き疑惑は、政官業癒着による自民党の金権腐敗体質を、繰り返し露わにしたものである。しかしながら、大島農水相は答弁の想定問答集を法制局に依頼し、小泉首相に至っては、公共事業受注企業からの献金規制を求める我が党議員の質問に対し「法律をいくら作っても、法律に違反するようではどうしようもない」と開き直る始末である。名古屋刑務所の受刑者死亡事件をめぐる森山法相の人権軽視と答弁の迷走、竹中金融・経済財政担当相による株価連動投資信託(ETF)についての「儲かります」発言などと併せ、小泉内閣の無責任な姿勢は目に余るばかりである。

  3. 「武力行使か、査察の継続による平和的解決か」で緊迫するイラク情勢に対し、小泉首相と川口外相は、国会では武力行使への是非を一切明確にせず、他方では明らかに武力行使に踏み込もうとする米英、スペイン提出の新決議案支持で奔走している。このような態度は、国民に対する説明責任を放棄するものであり、同時に、「戦争反対」が圧倒的な世論を無視するものだと指摘せざるを得ない。同様に政府は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発問題でも、何ら具体的なイニシアティブを発揮できずにいる。政府は、対米追随に終始するのではなく、武力による威嚇と行使を永久に放棄することを明記した憲法を外交の基軸に据え、イラク問題、北朝鮮の核開発問題での平和的解決を国際社会に対し、強く主張すべきである。

  4. 経済失政に輪をかけて負担増を強要し、閣僚の相次ぐ不祥事や無責任な言動にも居直り続ける小泉内閣が、もはや政権担当能力を失いつつあることは、世論調査での内閣支持率低下に、はっきりと現れている。社民党は四野党の結束のもと、引き続く参院での審議で政府予算案の問題点を徹底的に明らかにし、負担増の回避と雇用・中小企業対策の充実に努力するとともに、大島農水相の疑惑を始めとした閣僚の不祥事に対する責任追及に全力を挙げる。