2003年3月28日

2003年度予算の成立にあたって(談話)

社会民主党幹事長
福島瑞穂

  1. 本日の参院本会議で野党4党が反対する中、与党の賛成多数で03年度予算案が可決、成立した。史上最悪の失業率、バブル崩壊後の最低水準にある平均株価など、先行きの見えない深刻なデフレ不況にもかかわらず、政府・与党はサラリーマンの医療費窓口三割負担に象徴される国民負担増予算の成立を強行した。「痛み」の追い討ちをかけ、国民の雇用、生活、将来不安を助長させるような予算は、到底支持するに値しない。また予算案審議の最中に、与党内から補正予算案編成の声が噴出したことは、政府予算がいかに不適切な内容であるかを自ら証明したようなものである。

  2. 参院段階での審議中に米英両国などによって開始されたイラク戦争は、アナン国連事務総長も認めるように国連憲章、国際法に違反したものである。査察の継続、戦争の回避、国連の枠組みによる平和的解決の道こそ、平和憲法を持つ我が国の政府が国際社会に訴えるべき内容であった。しかし政府は、対外的には戦争を前提にした決議案への支持を表明し、国会の場では武力行使に対する評価を避けるなど矛盾した対応を続け、国会と国民に対する説明責任を放棄してきた。また、ブッシュ米大統領自ら、この戦争が先制攻撃による政権転覆を目的としたものと明言しているにもかかわらず、政府は「先制攻撃ではない」「国連憲章に合致している」と強弁している。米国追随の姿勢を際立たせながら、あいまいな説明、答弁で戦争支持の正当化を図る小泉内閣には、一国の外交を担う資格はないと指摘する。

  3. 予算案審議段階で、大島農水相の元秘書による政治献金流用疑惑、自民党長崎県連の違法献金事件が問題になったが、自民党は「疑惑にフタ」とばかりに、野党が要求する参考人招致に消極的な姿勢を取り続けた。ヤミ献金による坂井隆憲衆院議員の逮捕と合わせ、自民党の政官業癒着・金権腐敗体質が相変わらず放置されていることを厳しく批判する。また、名古屋刑務所の受刑者死亡事件、過去10年間分の「死亡帳」隠しなど森山法務大臣と法務省の人権軽視の実態も明らかになったが、法務省は矯正局長の更迭などでお茶を濁そうとしている。社民党は、疑惑を払拭できない大島農水相と名古屋刑務所問題での森山法務相の責任を今後も、徹底的に追及していく。

  4. 残念ながら生活破壊型の予算は成立したが、経済失政には目を閉じ、負担増を平気で押し付ける小泉内閣の下では、景気回復も雇用の安定も期待できない。また、イラク戦争について国民への説明責任を放棄し、閣僚の不祥事や自民党の金権腐敗体質にも開き直り、居直りの態度を続ける小泉内閣が、政権担当能力を失いつつあることは明白である。社民党は、通常国会の残された期間、雇用と生活の安定、イラク戦争の即時中止と有事法制廃案などを柱に論戦に臨み、小泉内閣の退陣を強く求めていく。