2003年7月28日
第156回通常国会の閉会にあたって(談話)
社会民主党全国連合
幹事長 福島瑞穂
- 本日、190日間の長期にわたった第156回通常国会が閉会した。今国会では、平和主義、国民主権、基本的人権の尊重という憲法の基本理念を否定する有事法制関連三法案が成立した。さらに、小泉内閣は国際法を無視した米英両国の対イラク武力行使を無条件に支持すると共に、米英両国による占領統治下のイラクに自衛隊を派遣するイラク特措法の成立を強行した。政府・与党が、戦後の戦争放棄、平和国家としての歩みを否定し、「戦争のできる国」そして憲法の改悪へとひた走ろうとしていることに、強く警鐘を打ち鳴らさざるを得ない。
- 今国会は、小泉内閣の構造改革が、国民生活破壊に突き進むものであることを明瞭に示した。四月からサラリーマンの窓口医療費負担や介護保険料などが引き上げられ、逆に年金や失業保険の給付は切り下げられた。政府税調の中間答申では消費税率の二桁への引き上げを始め、増税項目が並び立てられている。一方で、政府の「デフレ対策」では、小手先の株価対策や「りそな」グループへの二兆円の公的資金投入、生保の予定利率引下げなど、大手の企業、銀行の救済や優遇策ばかりが目立ち、国民の雇用や生活への不安は一顧だにされていない。小泉内閣が解雇の自由化を企図し、派遣業務や裁量労働制の規制緩和に踏み込んだことは、その最たるものと言わなければならない。
- 今国会でも、大島理森・前農水相の秘書による口利き疑惑、自民党長崎県連の違法献金事件、逮捕された坂井隆憲衆院議員のヤミ献金事件など自民党の政官業癒着・金権腐敗体質を浮き彫りにするような疑惑が噴出した。しかしながら、与党は疑惑隠しに奔走したばかりか、企業・団体献金の規制に逆行するような献金基準緩和の政治資金規正法案を平然と国会に提出した。社民党は、秘書給与問題に対する国民の厳しい意見を真摯に受け止め、再発防止に取り組むと同時に、自民党の構造的な政官業癒着を断ち切るために、一層の努力をしていく。
- 名古屋刑務所の暴行事件では、森山真弓法相および法務省に人権感覚が著しく欠如していることが明らかになった。また、レイプ事件や長崎の児童殺害事件をめぐっては、閣僚や自民党の責任ある立場の議員による暴言が続いた。これに対し、本人たちから真摯な反省の弁が聞かれなかったばかりか、政府もこれをほとんど問題にせず、責任の所在を明らかにしてこなかった。国会や国民を軽視、愚ろうする小泉内閣の無責任な政治姿勢を端的に示すものである。
- これらの点を振り返っただけでも、小泉内閣はもはや、政権を担当するに値しない。社民党は、他の野党と共に会期末に内閣不信任案を提出して闘ってきたが、予想される解散・総選挙も視野に入れ、引き続き、自民党政治と小泉構造改革に対決することで党の役割と存在意義を一層発揮し、平和と国民の生活を守り、政治腐敗の根絶に向けて全力を上げる決意である。