2003年11月30日

イラクでの日本人外交官殺害について(談話)

社会民主党
党首 福島瑞穂

  1. イラクのティクリートで日本人外交官二人が乗った車が襲撃を受け、殺害された。犠牲になられたお二人の外交官とご家族、関係者らに心からお見舞い申し上げたい。政府は事実関係の究明に努め、安全対策がどのように施されていたのかなどについて明らかにすべきである。

  2. 現時点で事件の背景は明確になっていないが、イラクで頻発するテロ事件は米英両軍以外にも対象が拡大している。テロは絶対に許されない行為であるが、大義を欠き国際法を無視した米英両軍によるイラク戦争とその後の占領統治は、テロを根絶するどころか報復を増幅しており、米英政府を無条件に支持する日本が標的とされた可能性は極めて高い。

  3. 小泉首相は今回の事件を受けても「従来の方針を変えない」と述べているが、イラク戦争開戦以降、初めての日本人犠牲者が生まれた事態を重く受け止めるべきである。現状では、自衛隊が派遣されれば派遣された地域が戦闘地域化する危険性が高く、「戦闘地域と非戦闘地域の区分は可能」としてきた政府の説明は、もはや崩壊している。政府は自衛隊派遣を断念し、米英両軍による占領統治から国連主導の復興支援への転換を進め、国連を中心とした非軍事・人道的支援への協力に徹するよう方針を改めるべきである。

  4. 先の特別国会で小泉首相は、自衛隊派遣について「状況を見極めて判断する」と述べるにとどまり、国会と国民への説明責任を放棄してきた。この現状で国民に何らの説明もしないまま、自衛隊派遣の基本計画の閣議決定を行なうことは許されない。野党が要求するように、イラク問題で臨時国会を召集するか、衆参両院の予算委員会などで閉会中審査を開催するよう強く求める。

  5. 社民党は今回の事件を機に、改めて市民との連携を強め、国会の内外であらゆる取り組みを行ない、自衛隊をイラクに派遣させないための大きな運動をまきおこし、その先頭に立つ決意である。

以上