社民党緊急記者会見(要旨)

2003年7月19日 21:50−22:10 
全国連合3F会議室

【福島瑞穂幹事長】

 夜分遅くの記者会見ということで、大変ご迷惑をお掛けいたします。(会見が)遅れました理由は、逮捕があまりに突然で、それぞれの弁護士の方も声明を出しておりますが、私たちも事実が何であるのかということを把握するのに、とても時間がかかってしまいました。遅れましたことを、お詫び申し上げます。夜遅くの会見になりましたこと、申しわけありません。

 昨夜、辻元前議員の逮捕について幹事長名の談話を発表させていただきました。辻元前議員は1年4ヶ月前、自ら政治不信を招いたとして、昨年3月に衆院議員を辞職しております。さらに、4月には衆院予算委員会の参考人招致に出席し、各党議員に答弁しています。8月には借金をし、2000万円以上、利子を含めて元政策秘書の給与相当額を国に返納しています。

 弁護団からそれぞれ、4通の声明が出ています。私たちも確認をしましたが、それぞれが逮捕の直前まで長時間にわたり、任意の取調べに応じていると聞いています。ですから、報道の中には捜査に非協力的であったというものがありますけれど、例えばある人は50回以上(というように)、数十回(の取調べを)受けています。非協力的といわれているけれども、事実はそうではないと聞きました。

 逮捕の必要性があるのか。つまり、逮捕するためには罪証隠滅の恐れや逃亡の恐れが必要なわけですが、任意出頭は全部出頭しておりますし、逃亡の恐れもありませんし、捜査に協力をし続けてきました。全員が出頭していますので、私はたまたま弁護士ですけれども、逮捕の必要性があったのかということについては、疑念を感じざるを得ません。

 また、辻元前議員が(次期総選挙に)出馬をする可能性がある、これはよくないということで逮捕があるのではないかという報道も見ました。しかし、そうであれば、まさにいま、解散総選挙ということが言われる中、そこで立候補がおかしいという逮捕であるならば、これは選挙妨害として問題となる余地もあるのではないか、と考えています。

 逮捕という事態を招いたことは、本当に極めて残念です。今後の推移を見守ると同時に、弁護人の方々が逮捕について「捜査に非協力的であるからと逮捕するということは、唯一捜査官側に迎合しなかったことをもって逮捕の理由とするものであり、わが国の憲法、刑事訴訟法の立場に反することは明らかである」との声明を出していることも考えていただきたいと思います。


【土井たか子党首】

 夜、このように遅い時間に皆さんにお集まりをいただきました。ありがとうございます。

 昨日から今日にかけて、福島幹事長からの報告にございましたとおりで、事実をしっかり踏まえていなければなりません。弁護士の方を通じて、今までの経過、ただいまの状況を聞かせていただくということが続きました。

 本当に残念です。本当に。今回の事態は、まことに残念です。この思いは非常に強いです。国民の皆さんからは、昨年来の経過に対するご批判をいただいています。真摯に厳しく受け止めていきたいと思います。捜査については公正に行なわれることを願って、慎重に見守りたいと思います。

 一年有余というまことに長い間、その間、できる限り捜査に協力してきたことを聞きまして、彼女たちを信頼しておりますだけに長く、つらい時期を過ごした上での突然の逮捕に驚きと疑問を禁じ得ません。なぜなのか。ずいぶん長い間、しかも言われたとおり、事情聴取がずいぶんと度数を重ねて、十二分に実情に対しては捜査の上で掌握できるだけの状況だったのではないでしょうか。それにもかかわらず、突然の逮捕ですから、驚愕すると同時にやはり疑問を禁じ得ません。

 すでに辻元さんは、今回の問題で昨年の春に職を辞して自らの非を詫びています。その辻元さんと共に、私の秘書として長年働いてきた五島昌子さんが、他の二人の秘書と共に逮捕されたことにも、強い衝撃を受けております。こうした事態をしっかり受け止めまして、つらい状況ですけれども、自らを戒めて社民党の信頼回復のために力を尽くすことこそ、私の天命と心得て頑張りたいと思います。


【質問】

1.五島元秘書が逮捕されたが、引き続き党首にとどまるということか

土井 今申し上げたとおりです。自らを戒めて、しっかりと状況を受け止めて、信頼回復のために力を尽くすことが、私の使命と心得て、努力したいと思います。

2.五島さんは長年、党首の秘書を務めてきたが、今回の被疑事実について、どのような報告を受けてきたのか

土井 今のご質問は長い年月の問題ですから知っている部分もあり、知らない部分もあります。知らなかったことも含めて自らを戒めて、力を尽くす以外にないと思っています。一連の被疑事実になっている中身については、私は残念ながら知らなかったというのが現実です。したがって、その知らなかったことも含めて自らを戒めるということだと思います。

3.党に対するダメージは

土井 信頼回復に徹して力を尽くすことが大事ではないでしょうか。

4.辻元さん、五島さんの逮捕に関して反省の弁がないが。党首をやめる気持ちはないのか

土井 2つとも申し上げておりますから、反すうして言う以外にないと思って承っていました。事実をしっかり受け止め、つらい状況ですけれども自らを戒めるといっておるのです。

5.自らを戒めるということに、処分というようなことが入るのか

土井 具体的に処分ということを、ただいま考えておりません。

6.党として改めて調査を行なうのか

土井 問題は捜査の段階に入っています。司直の手に委ねられて、事柄が推移していきます。したがって、それが公正である事を念じて見守るということが大事なのではないでしょうか。
福島 個人によって違いますが、何十回と事情聴取を受けている方もいます。逮捕という事態になり身柄が拘束されていますので、調査といっても拘束されている人に対して非常に困難です。あるいは捜査当局が明らかにする以上の調査結果は出ませんし、できません。捜査が公正に行われることを願います。

7.党首続投と受け止めるが、選挙を戦えるのか

土井 総選挙の問題については全力を振り絞ってがんばっていきたいと思っています。やはり、事件を通じて、党が国民の皆さんの信頼にこたえるためには、すでに調査会を設けて昨年の春に党としての(三)原則(秘書雇用のガイドラインを確認してきましたが)、当たり前のことを見失ったり、置き忘れてしまうと不信を買う状況が展開していくわけですから、これは三原則の中身を実現する努力が行なわれなければならない。選挙は必ず勝たなければならないということが大前提ですから、しっかりと頑張る以外にないです。全力を傾けます。

8.これまで与党の不祥事を批判してきたが逃げ回った、説明責任を果たしていない点が見られる。どうしてか

福島 冒頭申し上げましたように、辻元さんらの逮捕の報道を聞いたのは18日の夕方7時すぎで、新幹線に乗っているときでした。突然のことで、弁護士を含めていろいろな人たちから情報を集めるのに正直、時間がかかりました。弁護士の方も接見にいくなど、大変にあわただしく正確に情報をお聞きしなければ、談話などの対応もできませんので、時間がかかりました。(会見が)今日の夜になったことは申し訳ありませんが、きちんと説明責任を尽くしたいと思いますし、今日このようにご報告させていただいているのもその趣旨です。昨日も、談話を発表しています。その間も情報収集などにおわれていました。

9.次の選挙に党首は立候補するのか

土井 その通りです。

10.小選挙区か

土井 わが党は小選挙区から(の立候補)を原則にしております。比例オンリーということを考えてはおりません。

11.社民党の苦しい台所事情が背景にあるのか

福島 確かに企業・団体献金は受けていませんから、スタッフのことだけでなく、一般的には私設秘書をもの凄く抱えることなどできません。資金的には私たちはつましいと、一般論としては答えることができると思います。

12.党の組織ぐるみではないか

福島 辻元さんの事件が問題になったときに、党の全国会議員のヒアリングを行ないました。さきほど党首が述べた三原則もそこで確立したものです。例えば、親族を雇うときには(労働)実態があるということであらかじめ、許可を受けるとか。党ぐるみといわれることには非常に心外です。私自身も(このようなケースについて)一切知りませんでしたし、党ぐるみということはありません。
土井 党ぐるみといわれると、私も心外です。三原則は唐突に考え出したものではないのであって、社会党時代から長い間、当たり前にしてきたことです。わざわざいう必要などなかった。もう一度、当たり前のことではあるけれども、その点を踏まえてやりましょうという事を党の中で、こういうことが再びあってはならないという気持ちをもってやっています。党ぐるみといわれると心外です。本当に。