2003年8月8日

2003年度人事院勧告についての見解

社会民主党公務員問題対策特別委員会

  1. 今回の人事院勧告は、月例給の2年連続の引き下げや一時金の5年連続の月数削減で、年間給与は5年連続、かつ過去最大のマイナスとなった。公務労働者の生活のみならず、政府の社会的給付に依存する多くの国民の消費生活や、公務員に準拠する地方における中小・未組織労働者への影響はきわめて大きい。公務員給与のマイナス勧告は、現下の不況をさらに深刻化することにつながり、政府は本勧告の取り扱いについては、慎重を期すべきである。

  2. 官民較差分の差額調整については、実質的に不利益不遡及の原則に抵触する疑いが強かった昨年とは異なる方式がとられることになった。このことは当然のことであるが、デフレ下での減額調整が、労働基本権制約という現行の公務員制度の基本的な問題を浮き彫りにしており、労働基本権の回復、労使協議による賃金決定システムのための真摯な議論が必要であることには変わりはない。

  3. 今後、具体的な検討が始められる課題として、寒冷地手当や給与制度、地域給与、短時間勤務制度などがあげられている。関係当事者との十分な交渉・協議、合意を強く求めたい。

  4. 勧告とあわせて出された報告において、公務員制度改革に関する幅広いオープンな議論や、中立・公正性の確保、天下り・キャリアシステムの見直しが提言されている。これらの課題が今後の公務員制度改革の実現に活かされることを期待したい。

  5. 民間と公務員の相互の給与引き下げのマイナスの連鎖は、国民生活の破壊につながるだけでなく、公務労働の社会的基盤を掘り崩し、国民にとって大きな損失となることが危惧される。この悪循環を断ち切るとともに、透明で民主的な公務員制度改革を実現するには、何よりも公務労働者・民間労働者の自覚と猛省に基づく運動の強化・再構築と、国民との共闘が不可欠である。社民党は、官民労働者の一層の奮起を期待し、連帯する決意である。