福井豪雨災害の現地調査を終えて

2004年7月22日
福井豪雨災害社民党国会調査団

  1.  梅雨前線の活発化と停滞による「平成十六年七月福井豪雨」によって、貴重な人命が失われ、福井県民の皆さんの財産等についてもきわめて甚大な被害が発生しました。まずは亡くなられた3人の方のご冥福をお祈りいたしますとともに、行方不明者のご無事を願うものです。不自由な避難生活と後かたづけに追われながら、生活再建に取り組んでいらっしゃる皆さんに心からお見舞い申し上げます。生活の激変からくる健康不安や生活不安など、現地の皆さんには今後とも多くの困難が予測されます。生活基盤の復旧を最優先し、皆さんが一日も早く平穏な生活を取り戻されることを願っています。また、政府はじめ、関係自治体、関係機関の方々、ボランティアの方々が復興への取り組みに献身的に尽くされていることに敬意を表します。

  2.  本日の調査で、報道以上に深刻な被害実態に触れ、自然の猛威の恐ろしさをまざまざと見せつけられました。今後とも被災者支援対策、被害復旧・復興、産業経済の回復、再発防止のための災害復旧事業の早期促進などについて万全の対策が求められます。また、痛ましい自然災害が繰り返されるたびに、防災情報の伝達に問題はなかったのか、早めの避難はできなかったのかと思います。激しい雨が短時間のうちに堤防の決壊や市街地の浸水を引き起こす事態に、従来の水害対策を根本的に見直す必要性があると受け止めています。

  3.  被災現場での懇談・聞き取りなどで把握した内容も含め、今回の調査で明らかになった実態をしっかり受け止め、社民党としても、党をあげて、今後とも関係自治体、関係住民の皆さんの要望の実現に全力で取り組んでいく決意です。とりわけ次の諸点の早期実現について、帰京次第、政府・関係機関への働きかけを行って参ります。

    [1]  激甚災害法に基づく激甚災害の指定を早期に行い、復旧事業の推進を図ること。
    [2]  普通交付税の前倒し交付及び特別交付税の前倒し交付を行うこと。
    [3]  被災者生活支援法による被災者の迅速な生活支援を図ること。
    [4]  農業共済事業に係る共済金の早期支払いに努めること。
    [5]  被災中小零細企業等に対する災害融資等の支援を迅速・的確に行うこと。
    [6]  泥やがれきなどの撤去作業を支援すること。災害廃棄物の早期かつ適正な処理に努めること。
    [7]  足羽川はじめ今回の破堤・越水、浸水について、原因の究明、決壊箇所の補強、再発防止の方策を至急確立すること。中小の二級河川も含めて集中豪雨による河川の危険個所、都市化と宅地造成で雨水や下水がはんらんしやすい地域を再点検するとともに、堤防の決壊の一因と上流部のダムからの大量放水があげられていることにも留意して、重点的に対策を講じていくこと。
    [8]  伝染病の発生を防止するため、病院・保健所等の連携体制を強化するなど、住民の健康維持と衛生管理に努めること。
    [9]  仮設住宅設置を支援すること。深刻な被害を受けた個人住宅の救済策について検討すること。
    [10]  流された鉄橋についての復旧支援を講じるなど越美北線の早期復旧に努めること。
    [11]  局地的集中豪雨に係る観測・予測体制について、一層の精度向上を目指し、予報の方法なども含めて再検討を行い、充実強化を図ること。
    [12]  防災情報の伝達・提供の迅速化・確実化を図ること。特に1人暮らしや寝たきりの高齢者・障害者等のいわゆる災害弱者対策について一層の体制整備を図ること。
    [13]  過去の出水による浸水地域の情報をいつでも知らせることができるようにするとともに、浸水被害予測図の早期作成に向けて、国は的確な支援を行うこと。
    [14]  短時間で大量の降雨があり、すぐに水位上昇や決壊、はんらんが予想される今回の被災経験を踏まえ、局地的集中豪雨の際の避難方法、情報伝達方法、救助方法などの防災体制のあり方を抜本的に見直すとともに、必要な関連法の改正も含めた対策を検討すること。