2004年6月9日

小泉首相の多国籍軍参加表明について(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 日本時間の本日未明、小泉首相はブッシュ米大統領との首脳会談において、イラクでの主権移譲後も「イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊の派遣を継続する」と述べ、新たに編成される見通しの多国籍軍への自衛隊参加を事実上表明した。首相の発言は、多国籍軍への自衛隊参加を「憲法上、許されない」としてきた政府の見解を覆した上に、これまでの安全保障政策をなし崩し的に大転換させるものであり、到底認められない。このような重要な問題を国会での議論も抜きに、勝手に約束した小泉首相の無責任な姿勢を厳しく批判する。

  2. 最近になって内閣法制局や防衛庁幹部が、武力行使と一体化せず、多国籍軍に参加しても自衛隊が司令部の指揮下に入らなければ、憲法上問題がないとする発言を繰り返している。しかし、武力行使を前提とした軍隊に参加することは、自衛隊の活動がいかなるものであっても武力行使と一体化し、集団的自衛権の行使に抵触する可能性は否定できない。ましてや多国籍軍に加わるが指揮下には入らないという説明は、とってつけたような奇弁だと言わざるを得ない。現行のイラク特措法をもって自衛隊の多国籍軍参加を自動的に認めることなど言語道断である。

  3. 「大義」であったはずの大量破壊兵器すら発見されず、悪化の一辺倒をたどるイラクの治安状況を見たとき、米英両国によるイラク戦争と占領統治の誤りは、もはや誰の目にも明らかである。またイラク特措法の「戦闘地域と非戦闘地域の区分」が幻想に過ぎないことも明白になった以上、自衛隊は直ちにイラクから撤退させるべきである。政府は、自衛隊のイラク派兵・米軍支援に固執するのではなく、非軍事の人道的な復興支援活動に徹するべきであると改めて主張する。

以上