2004年6月16日

第159回通常国会の閉会にあたって(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 本日、150日間にわたった通常国会が閉会した。今国会はイラク派兵の国会承認を皮切りに、04年度政府予算案、年金改悪法案、有事法制関連7法案・3条約、道路公団民営化や司法制度改革など重要法案が目白押しとなった。年金改悪法案の審議をめぐる一連の経過で、重要なデータは隠して説明責任は果たさず、疑惑は放置し、欠陥が明らかになれば数の力で強行採決を繰り返したように、小泉内閣と与党の姿勢は、国会を軽視し国民からのかい離をますます強めている。このような内閣に野党が不信任案を突きつけたのは当然のことである。

  2. 生活不安や将来不安を解消することが求められていた04年度予算案で、政府は公共事業費に大胆なメスを入れず、ミサイル防衛(MD)配備の予算を盛り込み防衛費を聖域化する一方、国民には負担増だけを強要した。また国民の最大の関心事であった年金改革では、14年連続して保険料を値上げし、給付は15%も削減する政府案に国民の7割が反対する中、与党は強行採決で応えた。これらは、国民の生活をまったく顧みない小泉内閣の政治姿勢を象徴するものである。

  3. 小泉構造改革の目玉の一つであった「三位一体改革」は、地方への税源移譲はわずかにとどめ、補助金と地方交付税を大幅に削減したように、地方に赤字財政のツケ回しをする「三位バラバラ改悪」だった。さらに道路公団民営化は残りの高速道路建設計画の完成を前提とし、経営の不透明さや天下り問題にはメスが入らず、癒着構造温存のための看板の書き換えに終わった。

  4. イラク派遣の国会承認は、サマワ市評議会の存在の有無や先遣隊派遣前から作成されていた調査報告書をめぐって混乱しながら、与党は単独で衆院本会議採決を行なう暴挙に出た。戦争の誤りと占領統治の破たんは、もはや誰の目にも明らかだが、小泉首相は先の日米首脳会談で主権移譲後のイラクで編成される多国籍軍への自衛隊参加を表明し、同時に米国が譲歩に譲歩を強いられた国連新決議の採択を「米国の大義の勝利だ」と持ち上げた。憲法違反の自衛隊の多国籍軍参加は断じて容認できないばかりか、「非戦闘地域」に活動を限定したイラク特措法に照らしても自衛隊は即時撤退させるべきである。

  5. 昨年の有事関連3法に引き続き、今国会で成立させられた有事関連7法は、国民保護の名称とは裏腹に協力を拒んだ市民に罰則を盛るなど、まさに憲法の平和主義、国民主権、基本的人権の尊重に真っ向から対立する人権制約法、戦争協力法である。自衛隊の多国籍軍参加の動きと合わせ、行き着く先は、軍隊としての自衛隊と集団的自衛権の行使を容認するための憲法改悪にあることは間違いない。社民党は、戦後の平和国家としての歩みと社会のあり方を覆す改憲の動きに断固として反対していく。

  6. 小泉首相自らが、勤務実態なしの厚生年金加入問題に対し、説明責任を尽くさなかったことに代表されるように、今国会でも閣僚の問題発言や失言が相次いだ。また、閣僚の国民年金未納問題や自民党の最大の献金団体である日歯連をめぐる疑惑などについては徹底的にフタをし、政府・与党が国民の政治不信を助長させてきた責任は極めて重い。国民の暮らしと平和、憲法をひたすら破壊し続ける小泉内閣の政治を、これ以上許すわけにはいかない。社民党は、7月の参議院選挙において年金・イラク・憲法を3大争点に掲げ、小泉内閣3年間の政治を徹底的に追及し、国民の理解と支持を得るために全力で戦う決意である。

以上