2004年6月18日

自衛隊の多国籍軍参加決定は容認できない(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 本日、政府は政令改正をもって、自衛隊の多国籍軍参加を閣議決定した。政府がどんなにいいつくろうとも、多国籍軍は武力行使を念頭に置いた軍隊であり、ここに参加することは憲法が禁止した集団的自衛権の行使にほかならず、断じて認めることはできない。なし崩しの参加決定は、まさに憲法をもなし崩し的に空洞化させるものである。

  2. これまで政府は、海外での武力行使を禁じた憲法に抵触する可能性があるとして、多国籍軍への自衛隊参加を見送ってきた。しかし、小泉首相がブッシュ米大統領に対して多国籍軍参加を約束して以来、従来の政府見解は小泉首相の約束を追認するために強引に捻じ曲げられてきた。安保政策の大転換であるにもかかわらず、国会軽視・国民不在のまま閣議だけで参加を決めたことも、シビリアンコントロールの崩壊を招くものとして厳しく批判する。

  3. 多国籍軍参加を決めるにあたっての政府の統一見解は、多国籍軍は「統一した指揮下」にあるとした国連新決議1546の内容を「統合された司令部」に置き換え、自衛隊は「わが国の指揮に従う」「他国の武力行使と一体化しない」などとした。しかし米国防次官補が下院軍事委員会に提出した文書では「統一された指揮権とは、現状においては米軍の指揮権を意味する」と明言しており、独自の指揮権を主張する政府の説明は成り立たない。道理を欠き、無理に無理、詭弁に詭弁を重ねた説明は、逆に自衛隊の多国籍軍参加が従来の政府見解に違反し、憲法をおかしていることを浮き彫りにするものである。

  4. 小泉首相は日米首脳会談で、米国が譲歩に譲歩を強いられた国連新決議に対し、「米国の大義の勝利」だと持ち上げたが、イラク戦争に大義がなく占領統治が誤りであったことは明らかである。米国にひたすら追随する小泉首相の認識自体が間違っていることは、新決議が採択されても、依然としてフランス、ロシア、中国、ドイツなどの諸国が多国籍軍参加を見送っていることに示されている。イラク特措法に照らしてさえ自衛隊のイラク派兵は根拠を失なっている。社民党は、自衛隊のイラクからの即時撤退を改めて主張すると共に、「自衛隊ありき」ではなく、日本が国連を通じた非軍事の人道支援に徹するべきことを強く求める。

以上