2004年8月1日

WTO新ラウンドの農業交渉の枠組み合意について(談話)

社会民主党農林水産部会長
山本 喜代宏

  1.  ジュネーブで開催されていたWTO新ラウンドの農業交渉の枠組みが合意された。農業交渉は、2000年から開始されたが、03年カンクンでの閣僚会議でも輸出国と輸入国、先進国と途上国の対立により枠組み合意にいたらず、本年4月から農業交渉が再開されていた。
     今回合意された2回目の議長提案の内容は、アメリカなど輸出国が主張していた内容の追認に過ぎない。すなわち日本が求めている米などのセンシティブ(重要)品目の扱いがあいまいで、低関税での輸入枠拡大を迫られかねない懸念や上限関税が削除されていないことなど問題が残っている。
     これによってさらなる農産物の輸入拡大につながれば、日本の農業はますます厳しい状況に追い込まれ、壊滅の危機にさらされるものであり、断じて認めることはできない。

  2.  このまま輸入拡大に進めば、アメリカを中心とした多国籍企業による食の支配が一層強まり、輸入国の食料自給率の向上は阻まれ、農業・農村のもつ多面的機能も失われ、食の安全に対する不安は増大するばかりである。
     さらに、現行WTO農業協定は輸出国だけに有利で、輸入国には不利という不平等協定であり、アメリカなど輸出国を中心とした食料輸出の拡大は輸入国の農業経営破壊にもつながり、途上国の深刻な食料不足も解決することはできない。

  3.  社会民主党は、日本政府が今後の交渉にあたっても各国農業の差異の容認、食の安全、日本の農業を守ることを基本に、日本以上に農業の崩壊が進んでいるアジア諸国やEUと連帯し、食料の安全保障確保、農業の多面的機能維持を世界の共通認識としつつ、多様な農業が共存できるよう不公正貿易を是正することに全力をあげるよう強く求めていく。

以 上