2004年9月10日
郵政民営化基本方針の閣議決定について(談話)
社会民主党
幹事長 又市征治
- 本日、経済財政諮問会議と臨時閣議が開かれ、与党の了承を経ないまま郵政民営化の基本方針が正式決定された。利用者である国民を背後に追いやり、郵政事業の何が問題で、なぜ民営化が必要なのかすら示すことなく、与党の了承を省略して押し切る手法は、リーダーシップを履き違えた行政の私物化と言わざるを得ない。小泉首相の小泉首相による小泉首相のための民営化方針は認めることができない。
- 郵政公社発足に至る過程では郵便事業が対象となったが、今回は郵便貯金と簡易保険の縮小・廃止が主なターゲットとなっている。郵政事業の民営化は、公共性よりも効率・収益、経営最優先となり、郵便局ネットワークの崩壊、過疎地など不採算地域、採算の悪い顧客層からの撤退など、サービスの低下をもたらすことが懸念される。
- 金融自由化の進んだアメリカでは、特定地域からの店舗閉鎖や顧客差別が進み、口座所有に手数料をかけるなど低所得者は排除されている。ニュージーランドでは、民営化後、地方都市の郵便局廃止が相次ぎ、銀行の手数料値上げや支店閉鎖に対する国民の強い不満から、事実上郵貯が復活している。経済のグローバル化、IT化、金融の自由化、少子高齢化が急速に進むなかで、安全性や利便性を重視する庶民のための郵貯・簡保の役割は極めて大きい。郵便、貯金、簡易保険のユニバーサルサービスは国民生活の安定を図る上で不可欠であり、より良質なサービスを国民に継続して保障するようにすべきである。民間銀行を国有化し、国営の郵貯・簡保を民営化する小泉改革の進め方には疑問を抱かざるを得ない。
- 財投機関である特殊法人が「高級官僚の天下り先」や「汚職の温床」になっていることもただされなければならない。しかし、いくら郵政事業を民営化したところで、無駄な公共事業や特殊法人などの出口を見直さなくては、財政再建は達成できない。必要なのは、その事業が国民にとって役立っているかどうかという判断をしたうえで、郵貯・簡保資金の使途を見直すことである。郵貯・簡保資金を地域や緑、福祉のためにこそ活用すべきである。
- 2003年に公社が発足してから、ようやく1年を経過した現在、第1期中期経営計画期間における成果や限界は明らかになっていない。政治効果だけを狙った拙速な組織いじり・制度いじりは、国民の貴重な財産である郵政事業そのものの衰退につながり、国民の利益にかなうものではない。社民党は、今後とも国民のための郵政事業への改革を実現していくため、「民営化」の狙いと問題点を浮き彫りにしながら、徹底した情報開示、ポスタルサービスセンターなどの郵政ファミリーの改革、郵政事業への国民・利用者の意見反映などを求めていく。そして、全国2万4000ヵ所の郵便局とそのネットワークを、国民生活共有の社会的インフラ、暮らしに身近な公共サービスの拠点として積極的に活用していく立場で国会論戦に臨んでいく。