2004年9月14日

死刑執行に抗議する(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 本日、大阪拘置所と福岡拘置所に収監されていた死刑囚2人に対し、死刑が執行された。社民党は死刑が人道に反し、社会正義の実現にもとるものと考え、死刑制度に強い疑問を呈してきた。今回の死刑執行に強く抗議する。同時に国会閉会中、しかも内閣改造を目前に控え、駆け込みで執行に及んだ法相と法務省の姿勢についても厳しく批判する。特に大阪拘置所で執行された死刑囚については、一審のみの判決で、本人による控訴取り下げで死刑が確定したものであり、事件の真相解明など審理が尽くされていないのではないかという指摘もある。被害者の方々の心情は十分に理解しつつ、確定から執行まで1年という異例の早さであったことについては疑問が残る。

  2. 死刑制度については1989年の国連総会で「死刑廃止条約」が採択されて以来、国連人権委員会でも「死刑廃止に関する決議」がなされ、死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ、死刑執行の停止を考慮するよう求める」とした呼びかけがされている。また国連人権(自由権)規約委員会は、日本政府に対し、1993年、1998年の2度にわたり、死刑廃止に向けた措置を取るよう勧告している。欧州評議会も2001年に、日本が死刑廃止に向けた段階的な措置などを取らない場合、欧州評議会への日本のオブザーバー資格に対して異議を唱えるとした決議を採択している。今回の死刑執行は、死刑制度の廃止に向かう世界の流れに逆行するものと言わざるを得ない。

  3. 死刑制度については、国内外で大きな議論が起きていることを勘案して、死刑制度の存廃や死刑に代わる措置など刑罰の在り方について国民的な議論を尽くし、政府はその間、死刑執行を差し控えるべきである。この間、無罪を主張して再審を行なっていた波崎事件の冨山死刑囚、晴山事件の晴山死刑囚があいついで施設内で病死し、8月には袴田死刑囚の再審請求が東京高裁で棄却された。死刑制度の最大の矛盾ともいえるえん罪の疑いについて、司法はより徹底的に究明を行なう姿勢を確立すべきである。社民党は、今後も死刑制度の見直しに全力を挙げて取り組む。

以上