2004年10月31日
イラクでの人質殺害について(談話)
社会民主党
幹事長 又市征治
- 本日、イラクでイスラム武装勢力によって拘束されていた香田証生さんが、殺害されたことが明らかになった。ご家族のお気持ちを考えれば、心を痛めずにはいられない。生命を盾に取り、要求が通らないからと罪のない若者を殺害した残虐非道な行為は断じて容認しがたい。犯人グループの蛮行に対し、満身の怒りを込めて糾弾する。
- いかなる場合でも、政府には国民の生命を守る義務がある。事件発覚後、政府は即座に官邸に対策本部を設置し、谷川秀善外務副大臣をヨルダンに派遣するなどの措置を取ったが情報収集などで混乱した事実は否めない。今後、交渉経過を含めた事件発生後の対応について明確にするよう政府に求める。また、小泉首相が早々に「自衛隊は撤退させない」と断言したことも、人命尊重の観点から極めて不適切な判断であったと言わざるを得ない。
- テロや人質誘拐といった卑劣な行為は断じて許すことはできないが、イラクに対する武力行使、その後の米軍主導の占領統治と治安維持活動が、テロをなくすどころか報復と憎悪の連鎖を拡大していることは疑いない。戦争を無条件に支持し、自衛隊の多国籍軍参加を無理やりに強行した日本政府の判断の誤りが、その一端を担っていることも明らかである。
- イラク全土で戦闘行為が続いているが、サマワの自衛隊宿営地近くに4月に2回、8月に4回、ロケット弾または迫撃砲が撃ち込まれ、今月22日夜には信管抜きとはいえ、ロケット弾が初めて宿営地内に着弾した。社民党はイラク戦争と自衛隊のイラク派兵に当初から反対してきたが、「非戦闘地域」に活動を限定したイラク特措法に照らしても、自衛隊のイラク駐留の根拠は失われている。駐留の延長は言語道断であり、自衛隊はイラクから即時撤退させるべきである。
- 開戦時にイラクに大量破壊兵器は存在せず、差し迫った脅威など存在していなかったことが明らかになり、アナン国連事務総長もイラク戦争の違法性に言及した。「大義」も正当性もないことが明白となったイラク戦争によって、10万人を超えるイラクの人々が犠牲になった事実は余りに重い。政府は自衛隊を撤退させた上で、米国に追随するのではなく、米軍主導の多国籍軍による治安維持から、国連を中心としたイラク復興の枠組みへの転換にこそ、全力を挙げるべきである。