2004年11月18日

「三位一体の改革」の基本的枠組みの決定に当たって(談話)

社会民主党全国連合
幹事長 又市征治

  1. 本日、政府・与党は、迷走のうえに迷走を続け、「三位一体の改革」の基本的枠組みを決定した。枠組みは「できるだけ地方案の実現を目指す」としながら、主要な論点で結論を先送りし、小泉首相のメンツを保って「空中分解」を防いだ妥協の産物と言わざるを得ない。しかも中身は、国の財政再建優先・地方への負担転嫁が顕著であり、真の分権・自治の推進に資するものとは到底言えない。

  2. 補助金削減については、05・06年度で総額3兆円の補助金を削減すると明記したものの、項目ごとの削減金額・時期などは先送りした。大きな焦点となった義務教育費国庫負担制度も、中教審の結論が出るまでの間、小中学校に対する負担率を引き下げることが取り沙汰されている。義務教育費は自治体にとって自由度が高まらない財源であり、単なる義務的経費の地方への付け回しになりかねない。また、社会保障分野は、生活保護の負担率引き下げを見送ったが、国民健康保険の補助金を削減し、都道府県の負担を増やす方向が示されている。公共事業では、治山治水や災害関係費についてさらに検討するとし、公共事業の財源である建設国債を税源移譲対象に含めるか否かについても結論は先送りした。

  3. 国庫補助負担率引き下げは、国の口出しはそのままで出すものを値切るというやり方にすぎず、地方の自由度は高まらない。また、交付金化も使途の制約を緩めるとはいえ、国の関与が残りながら事業そのものが消滅するわけではなく、税源移譲につながらない。このような手法は分権・自治への逆行である。税源移譲額も今年度に措置された所得譲与税及び税源移譲予定交付金分が差し引かれ、約2兆3500億円程度に値引きされている。地方交付税についても、改革期間である2006年度までは地方の財源を保障するとはいうものの、この間財務省などから過大算定が指摘されており、財源保障機能が十分発揮できるのかどうかが危惧される。

  4. 地方の自由度を高めるという地方分権の原点を踏まえた改革が必要であることは論を待たないが、小泉政権の進める「三位一体の改革」は、赤字財政の地方へのつけ回しにすぎず、住民サービスの抑制、市町村合併やアウトソーシングへ自治体を駆り立てることは明白である。特に障害者や子ども、女性といった弱者に関係する福祉や教育、暮らしに係わる事業にしわ寄せがいってしまうことが懸念される。住民の共同意思にもとづいて自己決定できる分権社会の財政基盤の確立、自治体の財政自主権の強化こそが改革の本旨であり、住民生活と地域を維持・発展させることが改革の目標である。社民党は、真の地方分権の推進、住民自治の発展にかなう改革の実現を目指して取り組みを強化していく。