2004年12月6日
陸自幹部による改憲案作成について(談話)
社会民主党
幹事長 又市征治
- 陸上自衛隊幹部が自民党憲法調査会の中谷元・改憲起草委員会座長の求めに応じて安全保障に関する憲法改正案を作成し、提出していたことが明らかになった。政治課題に現職自衛官が関与し、ましてや憲法に盛られた安全保障政策の大転換に言及することは、明らかに文民統制(シビリアンコントロール)から逸脱した行為であり、断じて容認できるものではない。
- 同時に今回の行為は、憲法99条に規定された公務員の憲法尊重擁護義務、自衛隊員の政治的な行為を厳しく制限した自衛隊法61条に違反している疑いが極めて強い。防衛庁は、改正案を取りまとめるに至った経緯や組織的な関与の有無などについて詳細に調査し、結果と責任について明確にすべきである。
- 中谷座長は、陸自幹部による改憲案が自らの個人的な研究の材料であり、これによって自民党の改憲草案大綱の素案が決定されたわけではないとしているが、「集団的自衛権の行使」や国民に対する「国防の責務」を打ち出した自民党の改憲草案大綱の素案は、陸自の改憲案の内容と極めて似通っている。仮に陸自案が自民党の大綱素案に影響を与えていなかったとしても、中谷座長が文民統制に逸脱する事案を自衛隊に依頼したこと自体が大問題であり、その責任は免れないと考える。防衛庁と同様、中谷座長自身と自民党も、この間の事実関係について説明責任を尽くすべきである。
- 国民の6割近くが反対する中で強行されようとしている自衛隊のイラク駐留延長、武器輸出3原則の見直しがなし崩し的に行なわれることが予想される「新たな防衛計画大綱」の取りまとめなど、政府は国会と国民への説明を放棄して、ひたすら危険な方向に舵を切ろうとしている。政権党である自民党が自衛隊幹部と密室で談合し、憲法9条の改悪に踏み込もうとした今回の問題は、国民不在のまま平和と暮らしを破壊する政府・与党の政治姿勢を象徴したものである。社民党は、タガが外れたとしか言いようのない今回の問題の経緯・背景が徹底的に究明され、関係者の責任が明確になるよう全力を挙げる。
以上