2004年12月10日

新防衛計画大綱及び次期防の閣議決定について(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 本日、政府は新たな防衛計画の大綱と次期中期防衛力整備計画(次期防)を閣議決定し、武器輸出三原則の「見直し」に関する細田官房長官の談話を発表した。大綱は、政府自らがこれまで「歯止め」としてきたはずの「必要最小限の基盤的な防衛力」(基盤的防衛力構想)という考え方すら放棄した。同時に官房長官談話は、集団的自衛権の行使にあたる可能性を払しょくできないミサイル防衛(MD)の本格的な開発・配備を既定路線とし、事実上の武器輸出解禁に大きく踏み込んだものと言わざるを得ない。次期防と併せ、現状を追認しながら日米同盟と自衛隊の海外派兵の強化を際立たせ、軍事力増強に大きく舵を切った安全保障政策の大改悪である。

  2. 大綱は、日本が侵略を受けるような可能性は低下したとする一方、テロなどの「新たな脅威」に対応するとして米軍のアジア・太平洋地域におけるプレゼンスの維持、日米間の緊密な協力、自衛隊の付随的な任務に位置付けられている「国政平和協力活動」の本来任務への格上げなど、米国追随と自衛隊の海外派兵・海外活動の拡大を正当化しようという意図が透けて見える。今後、大綱に基づき、自衛隊の海外派兵の恒久化に走ることを強く危ぐせざるを得ない。

  3. 武器輸出三原則に関する官房長官談話は、MDの開発・配備に伴い、米国向けの部品輸出に限って例外とする内容だが、これに加えてテロや海賊対策支援なども個別案件ごとに検討するなど、三原則の「見直し」どころか、事実上の武器輸出解禁に等しい。戦力を保持しない国から、武器を輸出する国へ転換することは、明らかに憲法9条の趣旨に反する。

  4. 次期防では、現在の中期防予算から9200億円ほど減額し、陸自の定員総数や戦車・護衛艦・戦闘機などの装備も削減することになった。しかしながら総体で5000人削減するとした陸自定員数も予備自衛官の削減で帳尻りを合わせたに過ぎず、常備自衛官は現行定員数よりも3000人増加させている。MDの開発・配備や次期主力戦闘機(FX)の開発、イージス艦の能力向上などが盛りこまれたことに加え、敵基地攻撃能力の保有につながりかねない長射程ミサイル研究さえ、一時検討されたように、次期防は軍縮にはほど遠く、近代化・高性能化を柱とした軍事力の再編強化である。社民党は武器輸出解禁、MD配備などの日本の軍事力増強に強く反対し、軍事力に依存しない外交・安全保障政策の推進を強く訴える。

以上