2004年8月6日

2004年度人事院勧告・報告についての見解

社会民主党公務員問題対策特別委員会

  1. 公務員給与を巡り厳しい情勢が続いてきた中で、今回の人事院勧告は、月例給・一時金ともに水準改定なしの結果となり、6年連続しての年収マイナスはストップされた。しかし、特に一時金が据え置かれたことなどについては、民間の動向や「景気回復」との政府の認識を考えれば、不満が残る。

  2. 今次勧告の大きな焦点となった寒冷地手当の取り扱いは、この間の組合側の運動の積み上げによって、制度そのものを残すことができ、また所要の経過措置も講じられることになった。とはいえ、寒冷・積雪地の生活実態を無視した「抜本的な見直し」によって、支給地域・支給額ともに厳しい結果となっている。寒冷・積雪地において困難を強いられている実態への十分な配慮を求めたい。

  3. 職務・職責重視の給与制度、能力本位の任用の推進、実績を踏まえた給与処遇、新たな評価制度の導入などが強調されるとともに、来年の勧告に向け、全国共通俸給表の水準引き下げや地域手当の新設、査定昇給への転換、昇級カーブのフラット化、専門スタッフ職俸給表の新設、本府省手当の新設、一時金における成績査定の強化などの俸給・手当の全面見直しが打ち出されている。しかし、人件費削減・総人件費抑制ありきの立場での給与構造の見直しは、労働基本権制約の代償の第三者機関である人事院の存在意義にもかかわる問題である。

  4. これら勤務条件の重大な変更に際しては、今後の検討・具体化の作業自体、関係労働組合との十分な交渉・協議を経て、合意を得ていくことは当然である。特に、地域別の官民較差を考慮して全国共通俸給表の水準を引き下げていくことは、「同一労働・同一賃金」の原則を揺るがす問題である。しかも自治体労働者の賃金・労働条件の見直しにも波及し、民間と公務員の相互の給与引き下げのマイナスの連鎖、疲弊している地域経済への多大な影響を与えかねないことが危惧される。

  5. 「職業生活と家庭生活の両立支援策」として、勤務時間の弾力化・多様化が盛り込まれている。国民が求める良質で効率的な行政サービスを実現するためにも、職員の勤務意欲に応え、職業生活と家庭生活を両立できる勤務時間制度に変えていくことが必要である。本格的短時間勤務制の実現、長時間勤務の解消、非常勤職員制度の抜本的改善なども含め、今後の具体化に注目したい。

  6. 公務員制度改革大綱で打ち出されていた、各大臣による天下りの承認が、内閣によるものとして軌道修正されている。本来、中立・公平な第三者機関での管理・チェックとすべきであり、本格的な天下り問題の解決を求めたい。社民党は、労働基本権の保障を含む透明で民主的な公務員制度への抜本改革の実現を求め、公務労働運動及び国民との共闘の一層の強化を図っていく。