2005年1月26日

外国籍の職員昇任試験拒否訴訟最高裁判決について(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 日本国籍がないことを理由に東京都が管理職昇任試験の受験を拒んだのは不当だとして、都の保健師で在日韓国人2世の女性、鄭香均(チョン・ヒャンギュン)さんが受験資格の確認などを求めた訴訟で、最高裁大法廷は本日、東京都の対応は合憲である旨の判決をした。東京都の対応は「外国籍の職員が管理職に昇任する道を一律に閉ざすもので違憲」だとした二審の東京高裁判決を覆したことは、大変に遺憾である。

  2. 外国人に公務就任の機会を広げることは、地方自治にとっても有意義なことであり、国籍にかかわらず優秀な人材を確保することは、地方分権時代に対応できる職員を育てる上でも必要不可欠である。憲法8章(地方自治)の規定の趣旨からも、日本に住む外国人のうち、地域に根付き、自治体と密接な関係をもっている在日韓国・朝鮮人が自らの意思を自治体の事務処理に反映させ、これに参加していくことは望ましいことである。

  3. そもそも地方公務員法には国籍条項はなく、外国籍の人が公務員になれるかどうかということに関しては法律の規定はない。「公権力の行使または公の意思の形成への参画に携わる公務員となるためには、日本国籍を必要とする」のが「当然の法理」だとする内閣法制局見解や政府解釈は、あまりにも抽象的で妥当性がない概念であり、このことが外国籍市民の公務就任権を阻んできた。しかし、法治国家といわれる日本で、法律に基づかない見解や解釈が基準となり、また住民の代表である議会の意思に基づかない行政庁の見解によって、外国人の基本的人権を制限するような重大な差別的取扱いをすることは許されない。

  4. 仮に、国民主権原理を根拠に形式的に国籍をもっていることを任用の要件とする場合であっても、その場合の公務員とは、国家の意思の形成に直接関与し、かつ、その決定に重大な影響を及ぼす裁量を伴なう職務を行うものに限定すべきである。

  5. 「外国人も住民」であり、外国人の公務就任は自治体の内なる国際化、人権・差別問題の改善を含め、自治のあり方や民主主義の改善につながり、ひいては地方自治の充実・活性化、日本社会の変革の可能性を示すことになる。社民党は今後とも、外国人の公務就任権問題、公務員採用における国籍条項撤廃運動に取り組んでいく。

以上