2005・2・9
高速増殖炉「もんじゅ」改造工事着工について(談話)
社会民主党全国連合
幹事長 又市 征治
- 福井県の西川一誠知事は6日、中山成彬文部科学相と会談し、1995年12月のナトリウム漏れ火災事故によって運転を停止している、核燃料開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」の改造工事を了解する意向を表明した。イギリス、ドイツ、アメリカなど世界が高速増殖炉開発から撤退しているなか、安全性が確立していない高速増殖炉の運転再開にむけた今回の合意は過ちに過ちを重ねるものであり、改造工事の撤回、廃炉を求める。
- 国、核燃料開発機構は改造工事にむけて、「北陸新幹線」の県内延伸や原子力関連の研究開発拠点化計画への地域振興を見返りとして約束したと言われている。猛毒のプルトニウムを使用し、生み出す高速増殖炉は、事故が起きて原子炉がいったん暴走すればとりかえしのつかない大事故に発展する。国、核燃料開発機構は原子力関連自治体への「アメとムチ」の地域振興策を行うべきではない。
- 2003年1月、名古屋高等裁判所は「事故が起きる危険性は否定できない」「国の設置許可を無効とする」住民側勝訴の判決を下し、国は直後に上告して最高裁で係争中である。ナトリウム事故について係争中にもかかわらずその改造工事に着手するのは、住民無視、安全性無視もはなはだしいばかりか、司法無視であり、改造工事着工を中止すべきである。
- 高速増殖炉開発をめぐり94年改訂の長計では、核燃料サイクル政策の中核施設に位置づけ実用化の時期までうたっていたが、00年改訂では「将来の有力な選択肢」に格下げされた。原発は夢をふりまいた時代から高経年(老朽)化、廃炉対策の時代に入った。そのための技術の確立が急務である。
- 国は「もんじゅ」の維持管理、点検、改造工事に108億円を計上し、運転再開を急ぐ構えだが、再開すれば関連機器や施設の開発費を含めると2兆8千億円にのぼるといわれる。不透明な高速増殖炉の開発に巨費を投じるムダは認められない。これからは原子力に替わる自然エネルギー、燃料電池などの代替エネルギーへの政策転換が重要である。社民党はムダと危険の多い原発にしがみつく政府の姿勢をただし、安心・安全のエネルギー政策の確立に全力をあげる。