2005年4月20日

参議院憲法調査会での最終報告書議決にあたって(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 本日、参議院憲法調査会は自民、民主、公明の3党の賛成をもって最終報告書を議決した。最終報告書は、上記の3党が基本的に一致した内容について「すう勢」の意見と明記した。社民党は、このような取りまとめ方自体が、日本国憲法の「広範かつ総合的な調査」という調査会の設置目的に反し、改憲の方向付けをするものとの立場から、最終報告書の議決に反対した。

  2. 報告書は「今後の課題」として、憲法調査会を存続させ、「憲法改正手続の議論を続けるべきとする意見がすう勢」だとした。調査会を存続させ、議案審議権や提案権を付与することは、調査会が改憲を目指すものではないとした調査会設置時の各会派の確認から逸脱するものである。最終報告書の取りまとめをもって調査会は、その役割を終えるべきであり、改憲を促進するような機関へと衣替えさせることには、強く反対せざるを得ない。

  3. また、環境権やプライバシー権など、いわゆる「新しい人権」についても「憲法上の規定を設けるべきとする意見がすう勢であった」と明記されることとなった。社民党は、これらの権利については憲法上に新たな規定を設けなくとも、現行憲法で十分に対応できるものと主張したが、憲法上への明記が調査会のすう勢とされ、改憲の方向性が打ち出されたことは極めて遺憾である。

  4. 一方、第1次案では、自衛隊の存在について「憲法を改正して明文で記載すべきとの意見がすう勢」とされていたが、社民党などの反対意見を踏まえ、最終報告書では9条改憲の方向性を打ち出すには至らなかった。このことは、衆議院憲法調査会の報告書とは異なり、参議院の憲法調査会が9条改憲を望まない国民の多数の意見を踏まえたものと理解する。

  5. 衆参両院の憲法調査会の最終報告書が議決されたことを受け、改憲に向けた動きが一層、加速されることが予想される。社民党は、憲法を守り、生かし、国際社会の規範へと広げることこそ必要との立場から、今後とも、憲法を改悪させないために党の全力を傾注するものである。

以上