2005年5月16日
諫早干拓事業工事差し止め仮処分の取り消し決定について(談話)
社会民主党
幹事長 又市征治
- 国営諫早干拓事業をめぐり佐賀地裁が昨年下した工事差し止めの仮処分決定の抗告審で、福岡高裁は本日、国側の主張に基づいて工事差し止めの仮処分を取り消す決定を行なった。干拓事業と漁業被害の因果関係を審理する国の公害等調整委員会が3月に結審し、今夏までに裁定が下される予定とされる中、福岡高裁は、少なくとも調整委員会の裁定を待ち、結果を考慮して決定をすべきであった。今回の決定は大変に残念であり、遺憾である。
- 今回の決定理由では「工事と漁業被害の関連性は否定できない」としつつ、工事の「差し止めを認めるか否かは事柄の性質上、一般の場合より立証の程度が高い」とし、被害についての「漁業者側の立証は不十分」と指摘した。高裁決定は、因果関係の証明は「一般的に疑われる程度で十分」だとした佐賀地裁の決定よりも極めてハードルを高くし、ともすれば国の巨大事業だけを特別視しているのではないかという疑問を抱かせるものである。
- 一方、決定は九州農政局に対し、「中・長期の開門調査を含めた調査研究を今後も実施すべき責務を負っている」と断じた。政府は、この判断にこそ誠実に応じ、干拓事業が有明海の環境に影響を及ぼし、再生の妨げになっているとの結論に至った場合には、事業全体の在り方を再考すべきである。
以上