2005年5月27日

NPT再検討会議の決裂を深く憂慮する(談話)

社会民主党    
幹事長 又市征治

  1. 5月2日から27日まで、ニューヨークの国連本部で開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、事実上決裂したまま閉会した。会議半ばまで議題すら設定できないまま迷走を続け、最終的に「核軍縮」、「核拡散防止」、「原子力の平和利用」の3つの委員会のすべてで合意に至らないという異常な事態である。社民党は、NPT再検討会議の決裂を深く憂慮し、遺憾の意を表明する。

  2. 2000年の再検討会議では、核保有国が核廃絶への「明確な約束」を行なったが、今回の再検討会議ではこれを具体化し核廃絶への道筋を再確認することが期待されていた。イランや北朝鮮の核開発疑惑、「核の闇市場」問題の発覚などによって大きく揺らいだ核不拡散体制の立て直しも強く求められている。こうした重大な課題についてなんの進展も得られず、国際世論の強い期待は完全に裏切られる結果となった。

  3. 今回の再検討会議が失敗した最大の原因は、米国のかたくなな態度である。包括的核実験禁止条約(CTBT)の死文化と新型核兵器の開発を狙う米国は、CTBTの発効に係わる文言等の削除を強硬に要求するなど、あくまで自らの主張を押し通そうとした。イランや北朝鮮の核疑惑を批判する一方で、イスラエルの核を議題とすることを拒否するなど、米国の身勝手な態度は非核兵器国のひんしゅくを買った。

  4. こうした米国の姿勢に反発したエジプトなどが異議を連発し、意図的に協議を空転させたことが会議「決裂」の直接の引き金となった。仮に、米国主導で前回再検討会議より後退した合意が行なわれることを認めない目的だったとしても、国際社会の合意形成への意欲を失わせるこうした「破壊行動」もまた許されない。

  5. 核不拡散体制の信頼性を高めるため、商業用再処理を凍結すべきだとの議論に対して日本政府は強く反対した。核事故、核の違法取り引き、テロリストによる使用といったリスクを低め、核兵器物質及び技術の拡散を防ぐ努力は、核廃絶をすすめる重要な要因である。日本政府は、非核兵器国における初めての商業規模の再処理工場の運転による核拡散リスクに対しての、国際社会からの深刻な問題提起に応え、六カ所再処理工場の運転を無期限に凍結するべきである。

  6. 再検討会議は失敗したが、核兵器廃絶への歩みを後退させることはできないし、普遍的な核不拡散体制をなんとしても守りぬかなくてはならない。本年8月に被爆60周年を迎える被爆国日本から、あらためてノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒバクシャの訴えを世界に伝えながら、社民党としてもねばり強い取り組みをすすめる決意である。

以上