2005年5月30日

住基ネット訴訟の金沢地裁判決について(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 本日、金沢地方裁判所は、住基ネットからの離脱を希望する石川県の住民に対し、住基ネットによるプライバシー侵害を認定し、原告らの個人情報を住基ネットの台帳から削除することなどを命じた判決を下した。今回の判決は、総務省の政策を否定し、国民自身が住基ネットに参加するかどうかを自分で決める「選択制」の導入を事実上容認する内容ともいえる。東京をはじめ全国13の地方裁判所で同様の訴訟が争われているが、個人情報の削除を命じたのは初めてであり、司法の良識を示したきわめて画期的な判決である。

  2. 住基ネットについては、東京都国立市や杉並区、福島県矢祭町が現在も参加せず、選択制をとった神奈川県横浜市にも接続を希望しない市民が残り、「完全参加」とはなっていない。また神奈川県藤沢市、東京都目黒区などの審査会ではそれぞれ接続中止を求める住民の主張を容認する答申が出されている。社民党は、住基ネット自体、本来、市町村と住民のものである住基台帳の変質、共通のコードを振られることによるプライバシー侵害の可能性、住基ネットを維持するための莫大な経費の問題、データベース作成禁止の保障の不十分さ、将来的な民間開放による住基コードのIT社会のマスターキー化などの多くの課題・問題点を有していることや、住基ネットが管理化・軍事化を目的にしたものではないかとの懸念を抱いてきた。今回の判決は、損害賠償については棄却したものの、プライバシー権と住基ネットの住民にとっての利便性を比較考量し、離脱を求める原告らに限って同意なく住基ネットに参加させるのは憲法違反とまで判断しており、住基ネットの問題点に対する警鐘を鳴らしているものとして受け止めたい。

  3. もとより住基ネットは、自治事務であり、各自治体において住基ネットに接続させない取り組みや、アクセス記録の保存・開示の要求、セキュリティの一層の向上など、各県、市町村レベルの現場からの運動も重要である。社民党は国会レベルにおいても、住基ネットへの不安を共有する多くの市民・自治体労働者とともに、住基ネットの凍結・廃止に向けて、住基ネットのさまざまな問題点の追及、自治体の自治権発揮に対する支援、廃止法案の提出など、粘り強く取り組んでいく。

以上