2005年7月4日

郵政民営化関連法案の委員会通過について(談話)

社会民主党幹事長
又市征治

  1. 本日、衆議院郵政民営化に関する特別委員会は、郵政民営化関連6法案を一部修正の上、与党の賛成多数で可決した。小泉改革の「本丸」とされる郵政民営化は、成功すれば巨大な民業圧迫企業の誕生、失敗すれば身近で便利な郵便局ネットワークの崩壊という「百害あって一利なし」のものであり、社民党は原案、修正案共に反対した。

  2. 委員会では100時間を超える審議が行われたというが、政府の答弁は誠意のかけらもなく、さまざまな問題点や疑問、国民の不安を解決するにはほど遠いものであった。「修正は考えていない」「廃案になってもいい」と明言していた小泉首相が、自民党内で修正案が取りまとめられるや否や「よくここまでまとめてくれた。いい知恵を出してくれた」と豹変するに至っては、郵政事業改革の中身には関心がなく、ただ郵政民営化という名前のついた法律を成立させればいいという小泉首相の姿勢を端的に示すものである。国民を置き去りにした一貫性のない姿勢は、メンツだけにこだわった政治の私物化と言わなければならない。

  3. そもそも郵政民営化関連6法案は、中央省庁等改革基本法33条1項6号の条文をねじ曲げた欠陥法案である。また審議を通じて「なぜ民営化が必要か」の説明は正当性を欠き、[1]公共性や利便性よりも採算性や経営判断が優先され、郵便局のネットワークとユニバーサルサービスがガタガタになりかねないこと[2]数多くの「民営化コスト」を国民・利用者に負わせること[3]「骨格経営計算」が民営化論者に都合の良い勝手な試算にすぎないこと[4]手数料の値上げにとどまらず、サービスの質が下がるおそれがあること[5]アメリカの要求に基づき外資に国民の財産を売り払おうとするものであること[6]「郵便ポスト」は減るが「役員ポスト」は増え、癒着と天下りの温床になること――などの問題点が明らかになってきた。

  4. 与党提出の修正案は、実質的には政府原案の本質を変えるものではない。郵便局は本当になくならないのか、これまでどおり貯金・保険のサービスが郵便局で利用できるのか、などの国民の不安や心配は修正によってもまったく解決されていない。また、竹中郵政担当大臣の政府公報をめぐる随意契約問題や、政府公報のプレゼンテーション資料における主婦層や高齢者層への人権侵害問題も何ら解決されていない。

  5. 郵政民営化によって郵便局ネットワークが寸断されれば、ユニバーサルサービスが失われ、国民生活は破綻の道を歩むことになる。今、求められているのは、国民生活の「安心」や「安全」を提供する公的サービスを解体し、民間企業のビジネスチャンスのために無用なリスクを国民に強いることではないはずである。「安定的な代理店契約」や「基金」などという複雑で機能しない仕組みを無理やり作り、肝心なことは政省令と「経営判断」に丸投げし、国民を「実験台」にすることは断じて許されない。

  6. 小泉「改革」は、日本の将来にとって、国民生活の「安心」や「安全」を提供する公的サービスを解体し、民間企業のビジネスチャンスのために無用なリスクを国民に強いるものである。その「本丸」である郵政民営化は、国民が望んでいるものではなく、他国でも失敗が目立つものである。「国民の福祉の増進を図り、あまねく公平に利用できる」国民の郵貯や簡保を、「利益追求」第一の民間企業にすることは許されない。公社のまま必要な改革を実現することは十分可能であり、無謀な民営化は断じて行なうべきではない。社民党は、今後とも民営化法案の廃案と国民・利用者のための郵政改革の実現に向けて最後まで全力をあげる。

以上