2005年10月13日

「障害者自立支援法律案」の参議院厚生労働委員会採決にあたって(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

 本日、参議院厚生労働委員会において、「障害者自立支援法案」が採決され、与党の賛成多数により可決された。

 本法案は、前通常国会に提出されたが、データの誤り、基礎的な調査が不足している等、土台となる部分から問題が非常に多く、慎重審議が強く望まれていた。また、全国の障害者、難病患者、その家族、関係者から、同法案では、地域生活が続けられない、現在の生活水準が低下するとの必死の訴えが続いていた。

 しかし、政府与党は、当事者の不安を一顧だにせず、一度廃案になった同法案を、本質的な問題を残したまま再上程し、拙速な審議と採決を行った。社民党は、このことに強く抗議する。また、今後も同法案を廃案に追い込むべく全力を挙げていく。

 社民党の主な反対理由は以下の通りである。

(1)応益負担制度(定率負担制度)は、社会福祉の理念を根底から覆すものであり、導入すべきではない。

 これまで、障害者福祉(介護・生活支援、就労支援、障害児に関する支援事業等)と公費負担医療は、社会福祉の扶助原理にもとづいて、利用者の収入に応じた「応能負担」を原則として行われてきた。その根拠は、憲法第25条(生存権)によるものである。
 障害者自立支援法における「応益負担制度」は、25条で保障する「健康で文化的な最低限の生活」を“利用者に買わせる制度”であり、利用量に応じた負担は、重い障害、重い病気をもつ人ほど負担が増加する仕組みである。このような制度を導入することは、わが国の社会福祉の理念を根底から覆し、国の責任を大きく後退させるものにほかならない。

(2)応益(定率)負担制度の導入によるは、現在の障害者の生活水準を引き下げるにとどまらず、生活保護水準を含めたわが国の社会保障基準の引き下げにつながる。

(3)社会的な福祉基盤整備の充実、本格的な所得保障、抜本的な就労支援なしに、本法を施行することは、極端なサービス利用の抑制を招き、障害児・者、難病患者の生活と健康に甚大な悪影響を及ぼすことになる。

(4)拙速な結論を求めるのではなく、早急に基礎データ(障害児・者のニーズと生活実態)を集約し、国際的な水準や潮流を踏まえて、わが国の障害者政策を根本から見直すべきである。

(以上)