2005年10月30日

在日米軍再編に関する「中間報告」について(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が昨日、ワシントンで開かれ、在日米軍再編に関する「中間報告」を取りまとめた。報告は、日本とアジア地域における米国の軍事プレゼンスを縮小・削減させるのではなく、米軍と自衛隊との間での融合・一体化、「日米同盟」の世界化を打ち出して軍事力の増強を図るものである。「日本および極東」の安全に限定した日米安全保障条約の内容すら踏み越える安全保障政策の大転換であり、容認できない。

  2. 報告は、「自衛隊及び米軍は国際的な安全保障環境を改善するための国際的な活動に寄与する」など、随所で「日米同盟」を拡大・強化する方向を打ち出し、前方展開する米軍を自衛隊がいつ、どこででも後方支援できる態勢づくりを示唆した。これは、自衛隊の海外派遣の恒久化を意識したものにほかならず、米国による戦争への加担・支援を合法化する極めて危険な内容である。

  3. 報告は、米軍横田基地へ空自航空総隊司令部を移転させてミサイル防衛(MD)の共同運用調整所を設置させるほか、米陸軍第1軍団司令部を移転させるキャンプ座間には、新設する陸自中央即応集団を常駐させるなど、米軍と自衛隊の融合にも力点が置かれている。基地の共同利用、共同訓練の拡大、さらに情報・監視・偵察活動、輸送業務での日米協力の強化は、明らかに憲法が禁じている集団的自衛権の行使容認へと「なし崩し」的に進むものである。

  4. 在日米軍の再編に関しては、普天間飛行場の新たな移設先である辺野古崎沖、米空母艦載機部隊が移設される岩国基地、米陸軍第1軍団司令部が移設されるキャンプ座間に加え、先日、米国防省側から一方的に発表された横須賀への原子力空母配備を含め、米軍が移転する周辺の自治体、住民にとって今回の合意は「寝耳に水」の話である。自治体や住民の頭越しに米軍移設を合意し、負担を強要することは言語道断である。とりわけ、中東から朝鮮半島までを視野に入れた「不安定の弧」を対象にする米陸軍司令部第1軍団のキャンプ座間移転は、日米安保条約にすら違反するものであり、移設には断固として反対する。

  5. この間、日本政府は米軍再編に関わる具体的な協議内容について一切、口を閉ざしてきた。しかし、焦点となってきた在日米軍の整理・縮小・撤去については、実戦部隊を除いた7000人の在沖米海兵隊の国外移転以外、すべて米国側の要求を鵜呑みにし、在日米軍基地の機能強化と自衛隊による米軍補完能力の強化を受け入れた。移設に関わる巨額の費用まで、日本側が肩代わりすることもまったく説明がつかない。社民党は、改めて在日米軍基地の整理・縮小・撤去を進め、アジア地域での軍事力削減に全力を傾注する。

以上