2005年11月25日

政府税制調査会の2006年度税制改正に関する答申について(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 政府税制調査会は、本日、2006年度税制改正の答申を提出した。所得税と個人住民税の定率減税を07年に全廃し、3兆3000億円の実質増税を迫るなど、「本格増税路線」を推し進めるものである。今後、与党税調での検討が行われるが、定率減税が全廃されるのであれば、「サラリーマン増税はしない」という与党の公約違反は厳しく糾弾されなければならない。

  2. もともと定率減税は、所得税の最高税率の引き下げ・累進制の緩和、法人課税の基本税率引き下げとセットで導入されたものであり、所得と資産の格差拡大、法人利益の増大を考えれば高所得者や法人への減税をそのままに、勤労国民へのみ痛みを押しつけるやり方は税制のあり方として不公平きわまりなく逆立ちしたものといわざるをえない。

  3. 最近の企業の業績の回復を考えれば、企業向けの「IT投資促進税制」の廃止や「研究開発促進税制」の減税上乗せ措置の廃止、不動産登録免許税・不動産取得税の軽減措置の打ち切りは当然である。経済界からは、「国際競争力の観点からの新たな企業の特別措置」という指摘も出されているが、企業減税の廃止の取り扱いが後退しないよう強く求めたい。

  4. 酒税について、酒類の分類の簡素化と酒類間の税負担格差の縮小の方向性を改めて明記した。「第3のビール」への課税強化が焦点となっているが、とりやすいところからとるという姿勢で、企業の努力を無視し特定企業をねらい打ちするやり方には問題が多い。

  5. 特定財源は予算配分の硬直化をもたらし、ムダな公共事業の資金源として各省や族議員の既得権益と化している問題もあり、現行のあり方を見直すのは当然だ。道路特定財源について、社民党は、地方の生活バス路線の維持を始めとした公共交通機能の強化、あるいは環境保護対策など「総合交通財源」に切り替えることを主張している。電源特会や石油特会等の特別会計・特定財源についても、中途半端な見直しに終わらないよう、今後とも厳しく監視していく。

  6. 分権・自治の観点から税源移譲は当然だが、所得税非課税世帯や住宅ローン減税適用者については、負担増が予想される。「納税者の負担の変動を極力小さくする」というが、増減税中立となるよう、税額控除や減免税など課税調整措置を工夫することが必要である。また、住民税の税収が大都市部、特に東京都に集中することから、地方交付税の維持と重点配分が不可欠である。

  7. 小泉内閣は、総選挙で得た数の力を背景に、歳出改革路線の堅持・強化という形で福祉・生活予算を切り捨てながら、税制「改正」や社会保障負担増を積み重ね、将来的な消費税率引き上げを目指している。社民党は、庶民や弱者に激痛を強いる小泉改革路線の転換に全力をあげる。

以上