2005年12月9日

立川反戦ビラ事件東京高裁判決に抗議する(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 2004年2月27日、立川市の防衛庁官舎の集合ポストに「イラク派兵反対!いっしょに考え、反対の声をあげよう」という内容のビラを入れていた運動員が住居不法侵入で逮捕された事件について、本日、2審の東京高裁で1審東京地裁八王子支部の無罪判決を破棄し、逆転有罪判決を下した。社民党は、本件の高裁判決について今後の日本社会における政治的表現の自由の保障の行方を左右する大きな意味を持つものとして注目してきたが、残念ながら今回の2審判決は、権力の暴走に対するチェックを果たすべき司法の権能を放棄するものであり、強く抗議したい。

  2. 住民の住居権は、法によって守られるべき大切な権利であるが、自衛隊員とその家族に対して、ビラ配布という社会的に見て穏当な手段で自己の政治的見解を伝えるという行為に憲法21条1項の保障が及ぶのは当然である。回復しがたい深刻な人権侵害をなすものでないかぎり、本件のように、穏当な方法で、政治的意見を伝えるという目的での立ち入りまでもが住居侵入罪に該当するとすることには、疑問がある。ビラを配っただけで逮捕され、75日間も自由を奪われる日本は本当に民主主義国家なのかという深刻な疑問を禁じ得ない。マンションの集合ポストにビラを入れたら住居不法侵入になるとなると、もはや個々の市民に直接働きかける運動は成立しなくなってしまう。

  3. 自己にとって都合が悪い表現活動を権力が抑圧し、そのためにねらい打ちしようすることは、残念ながらしばしば起こることであるが、反対意見の封殺は、自由な市民の言論で運営されている民主主義社会を崩壊させるのであり、そのような危険を防止するために憲法をはじめとする法が存在する。特定の意見を抑圧するための国家刑罰権の恣意的な発動を許してはならない。

  4. 与党は公務員の政治活動規制の強化も検討し、国民投票法案では運動に対する厳しい規制を設けようとしている。表現の自由、言論の自由、政治活動の自由を保障してこそ民主主義が成り立つということを改めて強調したい。

以 上