2005年12月15日
与党税制改正大綱について(談話)
社会民主党
幹事長 又市征治
- 本日、与党がまとめた来年度の税制改正大綱は、所得税・個人住民税の定率減税の全廃、たばこ税の引き上げ、第3のビールの税率アップなど、国と地方で2兆円規模の実質増税になる見通しであり、増税路線に拍車をかけるものと言わざるを得ない。
- 所得税と個人住民税の定率減税については、景気に配慮する条件付きで06年度に廃止する方向が打ち出された。総選挙中には「サラリーマン増税はしない」と言っておきながら、選挙が終わるや否や定率減税廃止に踏み込む与党の公約違反は、厳しく批判されなければならない。
- 小渕内閣時に導入された「恒久的な減税」は、法人税率の引き下げや所得税・住民税の最高税率の引き下げとセットであった。所得格差が拡大し、企業が空前の利益上げている中で、高額所得者や法人への減税をそのままにして定率減税だけ廃止するのは、勤労国民への痛みの押しつけそのものであり、税の公平性を欠く。
- 法人税収減の要因の一つであった企業のIT投資促進税制を廃止したものの、経済界の圧力で情報基盤強化税制が創設されることになった。政府税調の答申よりも後退した内容であり、企業減税は衣替えで存続を図り、定率減税を廃止するという与党の姿勢は、国民生活よりも企業利益を優先した小泉内閣の姿勢を如実に示すものである。
- 児童手当拡充の財源探しのために、たばこ税の増税が突如打ち出された。数合わせ、辻つま合わせの「青天の霹靂」のような増税であり、十分な説明責任が果たされていないのは問題である。また、麦芽を使わない「第3のビール」と呼ばれる低価格のビール風アルコール飲料に対する酒税引き上げも、取りやすいところから取るといった安易な姿勢にほかならず、企業努力を無視し、特定企業を狙い打ちするものである。
- 郵政グループ会社間の取引にかかる消費税の減免については見送られ、「民営化に伴う激変緩和の必要性の有無、四分社化、基金の設置など郵政民営化に特別な論点を踏まえつつ、消費税の減免などを含め関係税制について所要の検討を行うこと」という参議院の附帯決議は無視された。年間500億〜1000億円規模の新たな税負担増が発生することになるが、消費税の性格上、利用者に転嫁されることになり、郵政民営化が国民・利用者に負担をもたらすという指摘を実証するものとなった。
- 消費税率引き上げ問題については、従来の「07年度をめどに消費税を含む税体系の抜本的税制改革を実現する」との表現を「07年度をめどに消費税を含む税体系の抜本的税制改革を実現させるべく取り組んでいく」とした。本格的な消費税率アップ・大増税路線に踏み込むものとして容認できない。
- 小泉政権が進めようとしている「歳入・歳出の一体改革」は、企業にはビジネスチャンスの提供と減税、庶民や社会的弱者には福祉・公共サービスの切り捨てと負担増を迫るものである。社民党は、院内外の力を結集して小泉改革路線の転換に全力をあげる。
以上