2005年12月24日

来年度予算案の閣議決定について(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 本日、政府は「改革総仕上げ予算」と自負する来年度予算案を閣議決定した。しかし、その内実は「国債発行30兆円」という外見にこだわっただけで、予算編成は相変わらず財務省に丸投げされた結果、国民に対して負担増を一方的に強要した「生活破壊・地方切り捨て予算」となった。改革予算どころか、国民の安心・安全に逆行する「改悪予算」に対して、党は断固として反対する。

  2. 国債発行30兆円以下は5年ぶり、予算規模80兆円以下は8年ぶりということで財政赤字解消に一歩踏み込むような装いだが、実際には定率減税縮小・年金保険料の値上げ・高齢者医療費の窓口負担増など、総額3兆円を超える家計負担増を押し付けて帳尻合わせをしたに過ぎない。小泉内閣の約5年間で170兆円もの借金を増やしながら、そのツケを増税と負担増で国民に転嫁するのは言語道断である。また景気回復で税収増を見込みながら、定率減税を縮小して大衆増税に走ることも、理にかなうものではない。

  3. 歳出面では、国民生活に直結する分野で予算を削減し、国の責任を回避する傾向が一層顕著になった。社会保障費の自然増を圧縮するために、高齢者への医療費負担増や障害者への福祉サービスに対する原則1割負担が強行されることになる。また「三位一体改革」によって義務教育費、児童手当、児童扶養手当の国庫負担割合を引き下げ、教育・福祉の両面で、地方に負担だけを転嫁したことも厳しく批判されなければならない。

  4. 公共事業費も額だけを見れば削減になっているが、従来のバラマキ型の構図を大都市重視に転換したに過ぎない。都市圏の環状道路の整備、羽田空港の拡張整備などに巨額の費用が投じているのが、その典型であり、ムダな公共事業に大胆にメスを入れたとはとても言い難い。防衛費も4年連続で削減はしたものの、日米の軍事一体化を促進し、アジア地域の緊張の火種となりかねないミサイル防衛の開発・配備に1399億円もの予算を投じたことは「百害あって一利なし」である。また、かねてから党が強く指摘した特別会計の抜本的な見直しについても、4特会から1.8兆円を繰り入れるだけに終わり、まったくの中途半端に終わった。総じて歳出構造の抜本的な改革には、ほど遠い内容である。

  5. 政府の来年度予算案は、国民に増税・負担増などの「痛み」だけを強要してきた小泉構造改革の弊害を、集大成として露骨に示すものとなった。定率減税の廃止・縮小、福祉・社会保障切り捨ての行き着く先として、消費税率のアップが目論まれていることも疑いない。社民党は、「雇用・生活・将来」への不安を安心へと転換していく政治の実現のため、政府の予算案に対して党独自の組み替え要求を取りまとめ、審議に臨んでいく。

以上