2005年8月15日
社会民主党
あの悲惨な戦争から60年という節目を迎えるにあたり、アジアでそして日本で犠牲になられたすべての方々に、心から哀悼の意を表します。
いまから20年前の戦後40年に際し、当時西ドイツのワイツゼッカー大統領は「過去に目を閉ざす者は、結局のところ現在にも盲目になります」と演説しました。同じくドイツのシュレーダー首相は、今年1月のアウシュヴィッツ解放60周年式典で「私たちが、かつて国家権力によって、自由と正義と人間の尊厳が踏みにじられたことを忘れるならば、現在の自由も正義も人間の尊厳もありません」と述べました。いずれも、ドイツが世界大戦を引き起こし、多くの人々に犠牲を強いた歴史を直視しようと強い姿勢で国民に呼びかけたものです。
ひるがえって、日本の政治の現状はどうでしょう。政教分離の原則に反し、A級戦犯を合祀した靖国神社への小泉首相による参拝の継続。イラクに駐留している自衛隊の車列が直接に攻撃の対象になってもなお、「サマワの治安は安定」していると開きなおり、戦争に加担することを躊躇しない日本政府。そして、「戦争の放棄」「交戦権の否認」「戦力の不保持」といった憲法9条の根幹をことごとく削り落とし、代わりに自衛隊を「自衛軍」に位置づけ、「国際平和」の名を借りて海外での武力行使を容認した自衛隊の憲法改正草案。時計の針を逆戻しするかのようなこれらの動きが、戦後60年の節目の年に進行していることに、私たちは強く警鐘を打ち鳴らさずにいられません。
また、ドイツと同じく、世界大戦を引き起こした国の首相として、小泉首相は「過去に目を閉ざすものは、現在にも盲目になる」という言葉の意味をかみしめるべきです。事実を直視し、真摯に反省することなくして、「未来志向」という言葉をただ繰り返してみたところでアジアの人々から信頼されるはずがありません。
戦後60年、そして原爆被爆から60年という、まさに節目の年、私たちに求められていたのは、多くの人々の尊い生命を奪った戦争を2度と繰り返さないという決意を示し、アジアの人々との信頼関係を一層、強固にすることです。社民党は、戦争や軍事力に依存した安全保障ではなく、対話と協力、信頼と協調を基本とした安全保障への転換に全力を挙げます。国民の皆さん、戦争を否定してきた戦後の歩みを重く受け止め、日本を「戦争のできる国」にしようとする危険な流れを食い止めるため、共に手を取り合っていきましょう。