2006年4月20日

行政改革推進法等の衆議院通過に当たって(談話)

社会民主党
幹事長 又市征治

  1. 本日、行政改革推進法案など関連5法案が、衆院本会議で可決され、参議院に送付された。社民党は、小泉政権の総仕上げである「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革」が、福祉を削り社会的公共サービスを解体し国民の財産を売り払う一方、自己負担や不公平税制を拡大させツケは国民に転嫁しようとするものであることから、反対した。

  2. 行革推進法案には、貸し渋り・貸しはがしに苦しむ中小企業への公的融資の縮小、失業率がいまだ高止まりする中での労災保険法の規定による労働福祉事業並びに雇用保険3事業の廃止を含めた見直し、雇用保険法による国庫負担の廃止を含めた検討、労働者派遣事業や有料職業紹介事業の下での労働者の無権利な実情の中での公共職業安定所の職業紹介・職業指導業務等の民営化、国立がんセンター等の統合・独立行政法人化など国民生活に密接な分野の公共サービスの解体の方向性が盛りこまれている。また、国有林野事業特別会計、農林水産省統計や食糧管理事務、北海道開発局などもねらいうちされている。

  3. さらに、5年で5%の国家公務員の純減や10年で総人件費50%削減といった、根拠のない数値目標が自己目的化されている。全体の奉仕者である公務員の一方的な削減は国民への社会的公共サービスの量や質の低下にもつながる。政府の責任と役割、公共サービスの質と量について十分な議論を行い、国民にとって必要な事務事業は何かを精査することが先決である。

  4. 財界が「100年に一度」のビジネスチャンス、「官業の民間開放で50兆円もの新たな市場が誕生する」とはじく市場化テストは、官と民の公正な競争と言いながら、公正労働基準も、雇用継続と均等待遇の制度設計もなく、実際の「官民競争」は、賃金・労働条件の切り下げ合戦になることが危惧される。サービスの質の保障も、職員、利用者、国民・住民の意見反映の場もない。

  5. 公益法人改革については、準則主義で簡単に非営利法人を設立できるようにし、主務官庁制度を廃止する等の点では一面評価できるものといえる。しかし、税制支援措置が明らかでなく、天下りの問題も解消されておらず、自由な市民の公益活動を促進する観点からは、きわめて不十分な水準にとどまっている。

  6. 市場原理万能主義に基づく小泉構造改革は、弱肉強食の「競争社会」化を進め、社会の二極分化・格差拡大をもたらしている。だからこそ社会的公共サービスの必要性はますます高まっている。天下りの禁止、特権的なキャリア制度の見直し、公務員の労働基本権確立、政官業の癒着構造の打破など、原点に立ち返った改革こそ必要だ。社民党は、安全・安心の社会的公共サービスの解体、地方の切り捨てに拍車がかかることを危惧しており、参議院の審議において、さらに問題点を明らかにしていきたい。

以上