2006年05月25日

行政改革関連法案の参議院委員会での採決について(談話)

社会民主党幹事長
又市征治

  1. 本日の参議院行政改革特別委員会で、政府提出の行政改革推進法案、いわゆる市場化テスト法案、公益法人改革関連3法案が採決された。社民党は、政府提出5法案に反対するとともに、民主党提出のいわゆる天下り規制法案及び随意契約等透明化法案については、国民が求めている迂回天下りの規制や不透明・不適切な随意契約の是正に資するものであることから、賛成の立場で臨んだ。

  2. 政府案は、小泉政権の総仕上げである「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革」が、福祉を削り社会的公共サービスを解体し国民の財産を売り払う一方、自己負担や不公平税制を拡大させツケは国民に転嫁しようとするものである。また、貸し渋り・貸しはがしに苦しむ中小企業への公的融資の縮小、失業率がいまだ高止まりする中での労災保険法の規定による労働福祉事業並びに雇用保険3事業の廃止を含めた見直し、雇用保険法による国庫負担の廃止を含めた検討、労働者派遣事業や有料職業紹介事業により労働者の無権利な実情がある中での公共職業安定所の職業紹介・職業指導業務等の民営化、国立がんセンター等の統合・独立行政法人化など、国民生活に密接な分野での公共サービス解体の方向性が盛りこまれている。国有林野事業特別会計、農林水産省統計や食糧管理事務、北海道開発局などが狙い打ちされていることも看過できない。

  3. 公務員数や総人件費についても、本来、政府の責任と役割、公共サービスの質と量について十分な議論を行い、国民にとって必要な事務事業は何かを精査することが先決であるにもかかわらず、根拠のない数値目標を掲げ、公務員の純減や総人件費削減が自己目的化されている。

  4. 公正労働基準も、雇用継続と均等待遇の制度設計もないままの市場化テストは、賃金・労働条件の切り下げ合戦になることが危惧され、サービスの質の保障も、職員、利用者、国民・住民の意見反映の場もない。父母や職員に十分な説明や話し合いのないまま、強引な手法で横浜市が市立保育園を民営化したことについて、横浜地裁が違法と認定したことに留意すべきである。

  5. 公益法人改革については、準則主義で簡単に非営利法人を設立できるようにし、主務官庁制度を廃止する等の点では一面評価できるものといえるが、税制支援措置が明らかでなく、天下りの問題も解消されておらず、自由な市民の公益活動を促進する観点からは、きわめて不十分な水準にとどまっている。

  6. 小泉構造改革が社会の二極分化・格差拡大をもたらし、民営化・規制緩和が安全と安心を失うことが明確になっている。利用者や職員を切り捨てる「官から民へ」ではなく、天下りの禁止、特権的なキャリア制度の見直し、公務員の労働基本権確立、政官業の癒着構造の打破など、原点に立ち返った改革こそが必要である。今後とも社民党は、規制緩和や民営化のもたらした問題点の検証、良質な社会的公共サービスの充実強化に向けた取り組みを進めていく決意である。

以上