2006年6月12日
北朝鮮人権侵害対処法案について(談話)
社会民主党幹事長
又市征治
- 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による日本人拉致事件という国家犯罪・人権侵害はきわめて許しがたいものである。社民党は、朝鮮労働党に対して強く抗議するとともに、謝罪と真相解明を求めてきた。しかしいまだに、北朝鮮に誠意ある対応が見られないのはきわめて遺憾である。2002年の「日朝平壌宣言」を誠実に履行することにより拉致問題を解決していくことを、北朝鮮に求めるものである。
- 本日、北朝鮮人権侵害対処法案が、与党と民主党の合意により、衆議院拉致問題特別委員会で、急遽、委員長提案された。しかも一切審議をしないまま採決されたことは、議会制民主主義を踏みにじる重大な問題である。この法律によって事態がどのように解決しうるのか、提案者は展望を示すべきであるにもかかわらず、その点も全く示されていない。
- 法案第7条は、経済制裁の発動に関し政府にすべてを白紙委任するものとなっており、国会の関与も保証されていない。また、脱北者支援に関する第6条の措置は、従来から難民受け入れについて消極的な対応をとっている政府の難民条約の取り扱いとの整合性に欠けるものとなっており、明らかに不公平である。国内外の民間団体に情報の提供をし、財政上の配慮をするという点についても、不明なところがある。以上のような問題点があるにもかかわらず、審議をしないまま採決されたため、社民党は委員会採決において反対した。
- 本法案がこれまでの外交的努力、国際的な努力を阻害させるおそれがあるばかりか、かえって拉致問題の解決をも遠ざけるのではないかと危惧せざるを得ない。政府はアメリカだけでなく、中国、韓国、ロシアなどとの連携を強化して、2005年の共同声明を生かすために、北朝鮮に六カ国協議へ復帰し、日朝包括協議の再開に応じることを強く求めていくべきである。
以上