2006年7月14日

ゼロ金利政策の解除について(談話)

社会民主党幹事長
又市征治

  1. 日本銀行は、本日、金融政策決定会合を開き、消費者物価指数の上昇率の安定化、景気の持続的な拡大、短観での景況感の改善などを確認し、金利の誘導目標を0.25%へ引き上げることや公定歩合の水準を引き上げることなど、いわゆるゼロ金利政策を解除することを決めた。社民党は、今回の決定について、中央銀行の金融政策運営に関する政府からの独立性と政策決定責任を尊重するとともに、金融政策の正常化を期待するものである。

  2. 今回の決定は、3月の量的緩和解除に続き、超低金利を続けてきた超異例の金融政策を大きく転換することになる。金融緩和政策は、企業や銀行の資金調達に恩恵を与えてきた反面、国民に対しては、資産の目減り・収入減による生活苦などの痛みを強いてきた。量的緩和・ゼロ金利政策のもたらした影響には大きいものがあり、十分な検証とともに、国民に対する説明責任をしっかりと果たしてもらいたい。また、ゼロ金利の見直しにより、金融資産の価値上昇や消費意欲の活性化など消費マインドに明るさをもたらし、景気浮揚に向けた効果も期待される。ただ懸念材料があり、今後金利の引き上げを口実に、中小企業の業績への打撃や住宅ローン金利の上昇、さらにはゼロ金利の恩恵を受けてきた国債費の膨張等が考えられる。社民党は、これらの点を警戒しチェックしていく。

  3. 政府・与党は、今年3月の量的緩和解除の際にも「デフレを脱却していない」など慎重論を浴びせ、今回も閣僚間で「日銀が独立性をもってやる判断」、「解除を急ぐ必要はない」などと認識の不一致があった。日銀の金融政策に政治的思惑を持って介入するのは、日銀の独立性と日銀の政策運営の透明化を基軸とする日銀改革の意義を矮小化し、日本銀行法の定める日銀の自主性を軽視することである。

  4. 村上ファンドへの投資に端を発した福井日銀総裁の不透明な金融商品取引の実態や総裁自身に対する信任、日銀の資産公開制度の不備等が問題となっている。「役員の金融取引等に関する内部規定等の見直しに関する諮問会議」の答申で一件落着とはせず、中央銀行として真摯に内部で問題点の改善に努めることが大事である。国民の福井総裁に対する不信は、ますます高まっている。社民党は、日本銀行がその独立性と透明性のもとで、物価の安定、経済の健全な発展、国民福祉の向上に資する整合性のある総合的な金融政策の発揮を期待する立場から、福井総裁が道義的責任をとり、直ちに辞職することを強く求める。

以上