2006年7月19日
厚生労働省のトンネルじん肺訴訟控訴を批判する(談話)
社会民主党幹事長
又市征治
- 主に国が発注したトンネルの工事現場で働き、じん肺になった人々が国を訴えている「トンネルじん肺訴訟」で、東京地裁と熊本地裁で判決が出され、どちらも原告の大半が勝訴した。しかし、「すべきことをしなかった」と、不作為の責任を指摘され、被害者救済とじん肺の根絶にこそ全力で当たるべき国が、本日控訴したことは、小泉政権の非人間性の表れであり、社民党として憤りを感じる。
- じん肺は最古で最大の職業病といわれ、悪化すると横になって寝ることも入浴もできず、酸素吸入にすがって一生を終えるという悲惨な被害状況に陥る。炭鉱の採炭現場もトンネル掘削工事現場も、粉じんが立ち込める厳しい労働環境であり、多くのじん肺患者が苦しんでいるのは、命や健康よりも、作業の効率やコストが優先された影響と言わざるを得ない。国策に沿った労働で日本経済の成長を支えたこの人たちが「使い捨て」であっていいはずはない。
- 政府は、トンネルや炭鉱だけでなく、あらゆる業種のじん肺患者の救済に全力をあげるべきである。これまでの行政の在り方を反省し、新たなじん肺患者を出さないようにするためにも、判決を誠実に受け止め、坑内での粉じん測定や送気マスクなどの装着の義務化などの積極的な施策を講じるべきである。
以上