2006年7月21日
2007年度予算概算要求基準の決定について
社会民主党幹事長
又市征治
- 政府は本日、2007年度予算の概算要求基準を閣議了解した。今回のシーリングの下敷きとなっているのは、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006」であり、政府は「歳出・歳入一体改革」初年度の予算編成と位置づけている。しかし、財政再建ありきの徹底した弱者をねらい打ちする歳出削減路線の推進は、格差社会の拡大への懸念や国民の抱える多くの不安の解消に決して応えるものではない。それどころか公共サービスを切り捨て、自己負担増・大衆増税を強要することで、「痛み」をますます拡大させ弱肉強食の社会に拍車を掛けることが懸念される。
- 焦点となっていた医療、年金などの社会保障費の自然増加分約7700億円は、2200億円圧縮し、5500億円増にとどめるとしている。今回は、雇用保険の国庫負担の削減や生活保護の圧縮で賄うというが、最低限のセーフティーネットまでを歳出削減の手段として切り込むことで、本当に必要としているサービスまでもが切り捨てられることを強く憂慮する。
- 対前年度比3%減のシーリングだった防衛関係費は1%減の5700億円と削減幅が圧縮された。しかし日米の軍事一体化を促進し、アジア地域の緊張の火種となりかねないミサイル防衛の開発・配備等については大胆に切り込むべきであり、実質的な予算の削減幅をさらに大きくする必要がある。しかも、今後6年間に3兆円の経費がかかるとされる在日米軍再編関連費用はシーリングの「別枠」とされたが、単年度平均でも5000億円規模とも言われ、これだけで歳出削減努力を吹き飛ばしてしまう。「大きな軍備」に踏み込んで国民生活に犠牲を強いることは、断じて許されない。
- 0〜2歳児を対象に手当の加算が検討されている児童手当などの少子化対策や基礎年金の国庫負担分の増も別枠とされている。しかもゼロ金利政策の解除で、国債元利払い費の増加も見込まれる。社会保障や地方財政、人件費等への一層の切り込みや自己負担増へのつけ回し、姑息で理不尽な帳尻合わせがないよう注視したい。
- 随意契約や官製談合、ITシステムなどのように、会計検査院や決算委員会で指摘されている事項やこの間問題となっている項目をもっと予算編成に反映させるべきである。特に、各省庁の既得権益と化している特別会計は、会計検査院や社民党の度重なる指摘にもかかわらず、改革は不十分であり、特別会計の整理合理化や剰余金・積立金の見直し等についても「数値目標」を示すべきである。
- 消費者物価が上昇に転じたことで、歳出削減の「痛み」は国民に直接降りかかることになる。厳しい財政状況下にあっても、一人一人の生活を重視し、GDPの6割を占める個人消費に届く予算、安心・安全を確立し、暮らしの質的向上に直結する予算に向けた政策の総動員を求める。
以上