2006年8月8日
2006年度人事院勧告について(談話)
社会民主党幹事長
又市征治
- 人事院は、2006年度給与について、月例給・一時金ともに水準改定の必要なしとの勧告を行った。本来、職務実態が公務と類似した民間企業と比較すべきであるにもかかわらず、人事院は、今回、政府・与党や一部野党の「政治の圧力」に屈し、1964年以来確立されてきた比較対象企業規模について、100人以上から50人以上に変更した。しかし、このような官民比較方法の見直しを行わなければ、月例給で+1.12%(4,252円)、ボーナスで+0.05月に及ぶ官民較差があったことを考えれば、比較方法の見直しは極めて問題が残るものといえる。
- また、今回の勧告は、政府の社会的給付に依存する多くの国民生活だけでなく、自治体の賃金確定、地方における中小・未組織労働者の賃金にも波及する。ひいては、格差が拡大し疲弊している地域経済に与える影響も大きい。
- 公務員給与を財政再建のスケープゴートとすることや、「政治の道具」として取り扱おうとすることは許されない。労働基本権制約の代償機関としての人事院が、一方的に政府・与党の進める総人件費抑制策に与したことは、中立性・独立性を自ら放棄し、代償機能を著しく損ない、存在意義を自らおとしめたものといえる。なお、まだまだ不十分であるが、人事院から意見の申し出があった育児短時間勤務制度や自己啓発休業制度については、早期に制度化を図るべきである。
- 小泉構造改革によって、格差が拡大し、安心と安全が失われている中、求められているのは、豊かで良質な社会的公共サービスの維持である。そのための公務の労使関係、公務の賃金決定システムについて、公務の役割や公務の仕事のありようも含む社会的合意と、労働基本権確立の原点に立ち返った根本的な論議・取り組みが必要である。公務労働運動及び民間労働者との共闘・連帯の一層の強化が求められる。
以上