2006年11月10日

NHKへの放送命令について(談話)

社会民主党幹事長
又市征治

  1. 本日、菅総務大臣は、NHKの短波ラジオ国際放送で拉致問題を重点的に放送するようNHKに対して命令した。国際放送が1952年にスタート以降、個々の案件で命令が出されたことはなく、個別項目の実施命令は今回がはじめてである。拉致問題が重要なことは間違いないが、それを放送せよと政府が命じることは、憲法の原則に反し、放送の自由や編集の自由を定めた放送法1条、3条を侵害する。権力よる報道・言論機関への介入を断じて認めることはできない。

  2. NHKによると、今年1月から9月までに北朝鮮関係のニュースは約2000本、うち拉致ニュースを約700本報道している。質量共に「不十分」とはいえず、命令する必要性に欠ける。NHKは、公共放送としての矜持を堅持し、番組編集権、表現の自由、報道の自由を擁護すべきである。

  3. 今後、他の問題でも個別・具体的な命令が出る危険性をぬぐい去ることはできない。そうなれば特定案件に対する放送量の増減や内容の規制も政府の都合次第となる。また、民放も含めた放送局の編集権に介入する第一歩として、NHKだけでなく他の報道機関にも波及する恐れがある。現に、菅大臣は、NHKテレビ国際放送も放送命令の対象になるとの考えを示しており、総務省は国際放送の強化へ民放も出資する国策会社の設立を目指している。

  4. 今回の放送命令の強行は、報道機関が、政府の言論統制下に置かれ、国民に正確な情報を提供する使命を果たさなかった戦前・戦中を思い起こさせる。社民党は権力による自由の侵害に断固抗議するとともに、命令放送の条項の廃止を含め放送法の見直しに取り組む。

以上