2006年11月30日
防衛庁の省昇格法案の採決を糾弾する(談話)
社会民主党幹事長
又市征治
- 本日、防衛庁のいわゆる省昇格法案が与党及び民主党などの賛成多数で衆議院を通過した。防衛庁を防衛省に昇格させることは、自衛隊を事実上、軍隊に格上げしようという憲法改悪の先取りにつながる大問題である。社民党は、米軍と共に「戦える自衛隊」に向けた組織再編の本格化を目指し、新防衛大綱の具体化を着実に進めるものであるとして、断固反対した。
- 防衛庁の調達背任事件や施設庁の談合事件、自衛隊内のイジメ自殺問題等の不祥事が相次いでいる。特に談合事件は本年2月に幹部が起訴され、いままさに対策の途上にある。資料提出も不十分で解明すべき点もまだまだ残されている。額賀前防衛庁長官が言っていたことと、今国会での議論も食い違っている。いま必要なことは、防衛庁の組織を省に変えて立場を強化することではなく、不祥事を起こさないための組織改革である。省昇格よりも不祥事への対策と信頼回復こそが優先する課題である。
- 外務大臣、防衛庁長官、与党幹部から、非核三原則を否定する発言や日本が核武装を検討するかのようにもとれる発言が続いている。安倍総理や塩崎官房長官も集団的自衛権をなし崩しで容認するかのような発言を行っている。こうした状況下で、防衛庁を省に昇格させようとすることは、日本の外交・防衛政策について誤ったメッセージを世界に送り、地域の緊張を高めることにつながる。
- 「省」となっても、防衛庁の任務、所掌事務、組織等には変更はないのであれば、なぜいま組織変更を行う必要があるのか、まったく理解できない。現在の防衛庁は「庁」のままでも十分に任務を遂行しており、昇格を急がなければならない理由はなにもない。
- 今回の法案には、自衛隊法を「改正」し、自衛隊の海外任務を本来任務と位置づける内容が盛り込まれている。これは、自衛隊の存在理由そのものを変えることであり、国土防衛のための必要最小限の実力であった自衛隊を、米軍と共に世界で闘う軍隊へ転換することに他ならない。海外活動が本来任務とされることによって、部隊編成や装備も海外展開を前提としたものに変わり、渡海能力が大幅に強化されることが予想される。
- 社民党は、参議院において、野党共闘の建て直しを図るとともに、政府・与党への追及を強め、本法案の問題点や危険性を浮き彫りにし、廃案に向けて最後まで奮闘する。
以上