2006年12月8日
政府・与党の道路特定財源の見直しについて(談話)
社会民主党 幹事長
又市 征治
- 政府・与党は8日午前、首相官邸で協議会を開き、「道路特定財源の見直しに関する具体策」に正式合意した。今回の見直し論議は、安倍晋三首相が塩崎恭久官房長官に年内に具体案をまとめるよう指示した後、先の経済財政諮問会議で「揮発油税を含めて見直しの対象とする」と発言したことで大きな政治問題化した。しかし
安倍首相が「改革」の目玉として打ち出し焦点となっていたガソリン(揮発油)税の一般財源化は、明記されないままのあいまい決着であり、大騒ぎの割には、「大山鳴動ねずみ一匹」で看板倒れに終わった。しかも最後は、道路族が力づくでねじふせた感があり、首相の指導力不足はぬぐいきれない。
- 特定財源は利権の巣であり、予算配分の硬直化をもたらし資源配分を歪めている。使途の評価よりも財源消化が先行し、財源があるからタレ流すという悪循環に陥っている。特に道路特定財源は、旧建設省や自民党の道路族議員の既得権益と化している。しかも道路特定財源が道路整備に使途が限定されている限り環境破壊が進むという問題点があり、社民党は、特別会計及び特定財源の改革に取り組んできた。しかし、今回の政府・与党合意は、既得権益にメスを入れ無駄な道路建設をストップさせるという点では何の改革にもなっていない。道路整備計画を作るということで、かえって無駄な道路造りに「お墨付き」を与えることが危惧される。
- 税を巡る論議なのに、納税者に何の説明もなく、決着したやり方も非民主的だ。実際に税を負担し納めている人や、自動車によって負の影響を受けている人への説明も何もなかった。暫定税率のあり方やそもそも目的税の必要性とはといった、根本的な議論もなされないまま、一方的に政治決着させられてしまった。
- 社民党は、国土交通省への統合の趣旨を活かし、各局の縦割りを排し、横断的・体系的な総合的交通政策を推進するため、道路財源を含む道路特別会計と航空機燃料税を含む空港整備特会、港湾整備特会等を一本化し、「総合交通会計」制度を創設し「総合交通財源化」を図るべきだと主張してきた。交通事故の多発、地球環境の悪化をはじめとするクルマ社会の負の側面の対策こそ必要である。社民党は、本来自動車利用者が負担すべき社会的費用を自動車関係者に適正な社会的費用を負担していただくことが公正であり、そういう形で納税者の理解を広げていくべきであると考える。ドイツではガソリン税に当たる鉱油税を公共交通のための財源として活用しており、交通事故を防ぐための自転車道や安心して歩ける歩道の整備、地方の生活バスや鉄道路線の維持を始めとした公共交通の強化への充当、環境対策、国鉄長期債務の償還などに使えるようにすべきである。
- 地方から道路整備の声が強いというが、自治体においても地域の特性を反映した自主的・効果的な政策が課題となっている。国の道路特定財源が余っているというのであれば、地方への移譲を行うべきである。また、道路だけでなく、他の公共事業関係の特定財源との統合も行うべきである。そうすることで、自治体の道路関係への一般財源の支出を抑えることを通じて、自治体の行う環境保護対策事業を進めたり、道路関係の地方債の元利償還に充当したり、福祉や教育を充実させたりするなど、自治体の判断で優先的な施策が実施されやすくなる。自治体が住民と一緒に判断していくことで、固定化されてきた事業のシェアの変化にもつながる。社民党は、今回の合意が中途半端な見直しに終わらないよう、厳しく監視していく。
以上