2007年5月14日

参議院本会議における「改憲手続法案」の採決強行に抗議する(談話)

社会民主党党首
福島みずほ

  1. 本日、参議院本会議で、わが党をはじめ十分な審議の徹底を求めていたにもかかわらず、非民主的な手続きによって委員会を通過した「日本国憲法の改正手続きに関する法律案」(改憲手続法案)の採決が強行された。同法案は、国の基本を定めた憲法を変えていく手続き法であり、非常に重要な法案である。今後の国民生活や諸外国との関係において、その根底を大きく変化させるものである。戦後60年間、平和国家としての土台となっていた日本国憲法を変える法案であり、社民党は断じて許せない。

  2. 国の根本を定める憲法を改正する手続きであるから、国民の多くも十分かつ慎重な審議を望み、今国会で拙速に決めることには反対であった。にもかかわらず、与党はこれらの問題の十分な審議と修整を避け、ともかく早く成立させることだけを優先してきた。衆議院での議論は不足していたにもかかわらず、強行採決によって審議を強引にうち切った。また、参議院においても、連休を含む1ヵ月だけの期間で、しかも、中央公聴会すら開かずに採決強行に至ったのは言語道断である。18項目にもわたる附帯決議が付いているということは、いかにこの法案が欠陥だらけであるかということを示している。憲法に係わる重大な問題を、軽々に取り扱うことは議会制民主主義にとっての歴史的汚点である。

  3. 安倍首相の言う「戦後レジームからの脱却」とは、戦後日本が築いてきた国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を壊すものであり、自民党新憲法草案の思想そのものである。一方では、アメリカの世界的な軍事戦略に日本を合法的に組み込んでいくためのものである。本法案の成立によって、最短で3年2ヵ月で憲法が改悪されるおそれがある。社民党は、参議院選挙に向け、あらゆる機会を通して安倍内閣の反動政権の本質と米国追従のための改憲策動を批判し、その危険性と欺瞞を国民に訴えていく。また設置される憲法審査会の動向については、その一挙手一投足に対しひとときたりとも目を離すことなく、憲法改悪法案が発議されないよう監視していく。社民党は、広範な市民との連携を強め、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を柱とする日本国憲法を守るため、国民の皆さんとともに大きな国民運動を展開し、参議院選挙勝利へとつなげていく。

以上