2007年5月26日

「社会保険庁関連法案(日本年金機構案、国民年金法等改正案)」の採決強行に抗議する(談話)

社会民主党党首
福島みずほ

  1. 昨日、衆議院の厚生労働委員会で、与党は「日本年金機構案」と「国民年金法等改正案」の採決を強行した。社民党は強く反対した。
     委員会では、国民年金と厚生年金の記録漏れによって、約5000万件の年金記録が、所有者不明のまま宙に浮いている問題が論点となっている。年金は、老後の生活の命綱であり、本来受け取れるはずの年金を満額受け取ることは、国民の当然の権利である。政府・与党は、5年間の時効規定を見直すことなどの対応策を示した。しかし、社会保険庁の重大な誤りをごまかし、幕引きをはかることは、到底許されない。政府は、法案を提出する以前に、サンプル調査の実施、全件調査を行うなど、社保庁に対し責任ある態度を示させるべきである。

  2. 政府案は、社保庁を解体し、業務を分割する。新たにつくる非公務員型の公法人「日本年金機構」に年金業務を行わせ、その多くを民間委託する。
     しかし、「非公務員型」にさえすれば問題が解決するというのは、誤った認識である。責任の所在や事実関係は曖昧になり、受託業者の頻繁な出入りで、逆に不誠実、非効率になる危険性が懸念される。民間事業者に提出された個人情報が流出・流用されるおそれがある。年金を確実かつ安定的に運営するためには、国による一元的な管理と業務の一体的な運営が不可欠である。

  3. 社保庁解体の発端は、グリーンピアをはじめとする巨額な年金保険料の流用問題である。しかし、法案は、保険料を事務費に充てることを特例措置から恒久規定に変えるもので、流用問題の歯止めとならないばかりか、新たな流用を合法化するものである。公的年金の信頼を高めるために、年金保険料はすべて年金給付に充てるべきである。

  4. 政府案には、国民年金保険料未納者にたいする国民健康保険による制裁が盛り込まれている。また、国が社保庁職員の雇用責任を放棄し、相当数の社保庁職員が職を失うおそれがあるなど、問題が山積している。
     政府案では、年金の空洞化を止めることができない。社民党は、税を財源とする基礎的暮らし年金の実現など、抜本的な年金改革に取り組み、安心信頼の年金制度を構築する。また、他の野党にも働きかけて、桜田義孝厚生労働委員長の解任決議案と柳沢伯夫厚生労働大臣の不信任案を提出し、政府案の廃案に向け全力を挙げる。

以上