2007年6月30日

参議院本会議での「社会保険庁関連法案」(「日本年金機構法案」「国民年金法等改正案」)と
「年金時効特例法案」の採決強行に抗議する(談話)

社会民主党党首
福島みずほ

 本日未明、参議院本会議において、政府・与党は「社会保険庁関連法案」と「年金時効特例法案」の採決を強行した。

 5千万件に上る「宙に浮いた年金記録」、国民の年金受給権を損なう「消えた年金記録」、さらに、「コンピューターに未入力の年金記録」、「棄てられた年金記録」など、社会保険庁の驚くべき実態が、次々と明るみに出るなか、国民の怒り、不安は高まる一方である。にもかかわらず、政府・与党が、国民に対して説明責任を果たすことなく、採決を強行したことに、社民党は満身の怒りを込めて抗議する。

 今国会の厚労委員会の審議では、社会保険庁が、業務の要である年金記録の管理をないがしろにし、国民の老後の命綱である年金支給に結びつける努力を怠ってきたことが焦点となった。2004年の年金改悪法の審議の際には、社会保険庁が国民から徴収した巨額の保険料を流用・無駄遣いしてきた問題が明らかになったが、この2つの問題は同根である。「社会保険庁関連法案」は、社会保険庁を分割解体し、新機構に衣替えをし、年金業務をバラバラにして民間委託を推進するものであり、抜本改革ではない。社会保険庁の分割解体のみを急げば、年金記録の実態、社会保険庁の実相は、まったく藪の中に隠れることとなる。やっと、実態解明の糸口がみつかった段階で、問題に蓋をし、社会保険庁・厚労省・政府の責任を雲散霧消させることは許されない。

 政府・与党は、「年金時効特例法」、「消えた年金問題」への第3者委員会の設立をはじめ、あたふたと対応策を繰り出している。しかし、これらは、問題の本質を覆い隠すものであり、国民の年金受給権を回復するための方策として不充分である。

 安倍首相は、「宙に浮いた年金記録」について、1年間で決着ができるかのごとく公言しているが、これは年金記録を照合する作業に止まり、本人の基礎年金番号に統合していくためのスタートラインを用意するに過ぎない。ずさんな管理によって、壊されてしまった年金記録をどう訂正していくのか、その後の作業は困難を極めることが予想される。その場しのぎの政府・与党の方策では、本質的な解決に至らないことは明白だ。

 さらに、国民の怒りを無視できずに、官邸主導で社会保険庁職員らに賞与の返納をさせるのは、選挙前のパフォーマンスとしか思えない。

 社民党は、この間、棄てられた年金記録問題、年金記録の管理状況などについて、積極的に調査活動を行ってきた。今後も、政府・厚労省・社会保険庁に対し、実態の解明、原因の追及、責任の明確化、国民一人ひとりの年金記録の確立と「消えた年金」などによる被害者の救済を徹底的に求めるとともに、国民が信頼できる年金制度の構築に全力を尽くしていく。

以上