2008年1月29日
2007年度補正予算案の衆議院通過にあたって(談話)
社会民主党幹事長
重野安正
- 本日、2007年度補正予算案が与党の賛成多数により衆議院を通過した。補正予算案には、災害対策や原油価格高騰対策、中国残留邦人支援、被災者生活再建支援金の追加、年金記録問題の対応など、社民党が要求してきたものが盛り込まれてはいる。しかし、不十分な水準であるほか、以下のような重大な問題点があることから、社民党は反対した。
- 今回の補正予算案は、政府・与党の強行した政策の欠陥を粉塗し、総選挙対策のまやかしである。高齢者医療負担増対策として、1719億円が計上されている。しかし、保険料減免の対象者は、後期高齢者1300万人中、新たな保険料が生じる200万人にすぎない。また、減免期間も08年度のみである。70歳から74歳の窓口負担の据え置きについても08年度のみである。総選挙前の1年間だけの限定的な経過措置にすぎない。選挙目当ての弥縫策ではなく、後期高齢者医療制度の凍結・抜本見直しを行うべきである。
また、水田農業等緊急活性化経費の798.5億円についても、政府・与党が経営安定化対策によって中小農家を切り捨ててきたところに本質的な問題があり、戸別所得補償制度の導入を行うべきである。補正予算で、政府・与党の政策遂行の誤りを尻ぬぐいさせるのは問題である。
- 高齢者医療負担増対策については、2008年度当初予算に盛り込まず、07年度補正予算に盛り込むことの是非も問題である。4月発足の後期高齢者医療制度に関する負担増対策というのであれば、08年度予算できちんと措置すべきである。毎年社会保障の自然増について2200億円の抑制を続けておきながら、補正でごまかそうとすることは認められない。
- 国民生活より防衛関係を優先していることも問題である。原油価格高騰対策といっても、最大のものが、自衛隊関係の油購入費差額分約124億円となっている。また、米軍再編関連経費や普天間飛行場移設に伴う海上警備行動のための経費も問題が山積している。
- 9160億円の大幅減収は、当初予算の見積もりが余りにも過大すぎた結果であるが、税収の見積もりと実際の乖離がどのような経緯と理由により生じたのかも、明らかではない。税収の下ぶれは、政府・与党が強調する景気回復がごまかしであることの証拠でもある。
- 4143億円を国債整理基金特別会計へ繰り入れようとしているが、賃金が上がらず、物価上昇が国民生活を襲おうとしている今日、緊急的な景気対策を行うことが求められている。生活関連予算の充実にこそ回すべきであり、福田内閣が格差の是正や国民の生活安定策に無為無策であることに怒りを覚える。
- 与党側はいわゆる「つなぎ法案」を提出してきたが、数の暴力で入口での国会の審議権を封殺する党利党略であり、野党を交えた国会審議など不用だというに等しい暴挙である。参議院の無用論にもつながるものであり、衆院で多数を持つ与党の横暴ここに極まれりというほかない。「つなぎ法案」については、断じて認めることはできない。
以上